作成日:2025/12/21 

 

秘境駅から歩く

 


秘境駅ブームについて

 

 秘境駅がブームになっています。秘境駅に行ったときの体験談がネット上に出回っていたり、旅行会社による秘境駅ツアーのようなものがあるようです。そしてこの秘境駅の火付け役であり、「秘境駅」という1つの文化を築かれたのがご存じの通り牛山氏です。

ひ奥新川駅(秘境駅ランキング33位)
奥新川駅(牛山氏著 秘境駅ランキング33位)

  氏の書かれた書物が多く出版されており、実は私もかなり前に何冊か購入して愛読させてもらっていました。内容を読ませていただく限り、膨大な労力を費やされているようで、とても私にはできないなあといつも思っています。

 

 ちなみに牛山氏著2023年版の秘境駅ランキング200の中で、東北の駅は42駅ありました。約20%です。ただそのうち私が利用したことがある駅は11駅にしかすぎませんでした。200の秘境駅の5.5%、42ある東北の秘境駅の26%です。私が利用したことがある11駅だけもこのブログでご紹介しようかと思いましたが、東北秘境駅のわずか26%に過ぎないので、秘境駅単独でのご紹介は止めることにしました。

奥新川変電所
奥新川変電所(最寄りの駅 奥新川駅)

  ここで「利用したことがある秘境駅」と書きましたが、考えてみるとこれまで秘境駅を目的として出向いたことはありませんでした。別の目的地があり、そこに出向いた際に利用した駅がたまたま秘境駅だったのです。例えば東北初の直流変電所である奥新川変電所へ行く時に使った最寄りの駅が仙山線の奥新川駅でした(写真ご参照)。そしてこの駅が秘境駅ランキング33位であることを後で知りました。

 

 そこでわずか11駅ですが、これまでに利用した秘境駅と秘境駅経由で出向いた先を合わせてご紹介させて頂こうと思います。秘境駅に行かれたのであれば、それで終わりではなく、是非、その周辺を見て頂こう、もしくは秘境駅と呼ばれるくらいですから列車の間隔も数時間に1本程度でしょう、その時間潰し(笑)に活用して頂こうと思いたちました。

女鹿駅(秘境駅ランキング25位)
女鹿駅(牛山氏著 秘境駅ランキング25位)

  記憶に残っているシーンがあります。秋田県にある秘境駅ランキング25位の女鹿駅を利用した時のことです(ちなみにこの時の目的地は三崎峠でした)。駅舎で列車を待つ間、秘境駅ファンと思われる方が何組か車で来られました。皆さん一様に駅舎をバックに写真を撮り、その後、颯爽と車で立ち去りました。恐らく次の秘境駅を目指したものと思われます。駅での滞在時間はわずか数分でした。

 う~ん、鉄道の秘境駅に車で乗り付けて駅の写真を撮った後、駅舎に入ることもなく、次の目的地に向かう・・。秘境駅制覇を目指しているのでしょうか。もちろん悪いことではありませんが、折角、秘境駅に来たのですからもう少し周辺を味わった方がいいのになあと思いました。また鉄道の秘境駅ですから、鉄道を使って訪れる方がより達成感があるのになあとも思いました。

女鹿駅時刻表(2003年8月時点)
女鹿駅時刻表(2003年8月時点)

  ただこの女鹿駅は秘境駅らしく?列車本数が少ないのも事実です。写真をご覧いただければおわかりの通り、特に上り列車にいたってはなんと朝一の2本しかありません(注:2003年8月時点の時刻表です)。名だたる秘境駅に匹敵する(またはそれ以上の)不便さです。従って鉄道以外の手段で秘境駅に行く状況は理解できます。鉄道を愛する牛山氏も同じようなコメントをされていた記憶があります。

 

 それでもやはり秘境駅には鉄道で訪れて、秘境駅を「ゴール」としないで周辺を歩いてみませんか。以下はわずか11駅ですが、これまでに利用した東北の秘境駅と秘境駅経由で出向いた先です。駅からわずか徒歩3分の地にある場合もあります。 


これまで利用した東北地方の秘境駅と秘境駅からの目的地

 

 

ランキング

 

路線 秘境駅

秘境駅からの目的地

ご紹介先リンク
25 羽越本線 女鹿駅 三崎峠* 三崎峠と秘境駅
33 仙山線 奥新川駅 奥新川変電所跡* 奥新川変電所
36 釜石線 上有住駅 滝観洞  (下記ご参照)
41 仙山線

面白山高原駅

面白山* (下記ご参照) 
59 阿武隈急行

あぶくま駅

阿武隈ライン舟下り

(下記ご参照)  
80 会津鉄道

塔のへつり駅

塔のへつり 
(下記ご参照)
119 陸羽西線

高屋駅

最上川舟下り  最上川舟下り 
143 陸羽東線

堺田駅

封人の家、分水嶺  封人の家と分水嶺
161 由利高原鉄道

曲沢駅

鳥海山遠望 由利高原鉄道(曲沢駅)
176 常磐線 Jヴィレッジ駅 Jヴィレッジ (下記ご参照) 
183 長井フラワー線

白兎駅

葉山神社/木彫りの兎 長井鉄道(白兎駅)

表の見方は以下の通りです。

・「ランキング」欄は牛山氏著2023年版秘境駅ランキングです。

・「ご紹介先リンク」欄は本ブログでご紹介させて頂いたページのリンク先です。今回、初めて出てくる場合は、本ページの下段にまとめて記述するようにしました。

・駅からも近く(徒歩10分以内)、手軽に行ける場所は朱書きで「お勧め」と書いています。

 

奥新川駅にて
奥新川駅にて

  なお秘境駅と呼ぶからには人里離れた駅もあります。くれぐれも熊にはご注意ください。本ブログは「歩き」に拘っていますが、「地元の自治体から出されている熊出没情報を確認する」、「複数人で出向く」、「クマよけグッズを持参する」、等の熊対策もお忘れなきようお願いします。

 ご参考までに熊の出没情報のあった場所はで示しました(注:訪れた時点での熊情報です。もし訪れられることがあれば最新の熊情報もご確認頂くようお願いします)。

 

 今後も秘境駅を利用することがあれば追加していきたいと思います。最終的な目標は、秘境駅ランキング200のうち、東北にある42駅についてすべてその周辺のお勧めを書ければいいなと思っています(もちろんランキングは毎年変わるでしょうし、そもそも健康年齢が続く限りですが)。


秘境駅から歩く

 

 ここではこれまでに利用した秘境駅とそこから先の目的地についてご紹介させて頂きます。なお既に別ページにてご紹介済の秘境駅については、上記の表にリンク先を書いていますのでご参照いただければ幸いです。ここではこれまでご紹介できていなかった秘境駅とそこからの目的地について書いています。

 

【滝観洞(お勧め!)】最寄り駅 釜石線・上有住駅<秘境駅ランキング36位>

上有住駅
上有住駅(1990年撮影)

  上有住駅は釜石線にある無人駅ですが、今回、改めて調べたところ、1993年に駅長が廃止されてから無人駅になったようです。ということは私が訪れた1990年時点では有人駅だったことになります。が覚えていません。写真をご覧ください。この小さな駅舎に駅長はいたのでしょうか。

 

 この上有住の駅は釜石線の中で、唯一、住田町に属しており、上有住駅発で住田町の中心街へ向かうコミュニティバスが発車されています。実際、出向いた時には、駅の待合室にはJRの列車待ちではなく、JRのバス待ちの方が多くいらっしゃいましたちなみに当時はJRバスが運営しており、行先も住田町経由陸前高田でした)。バスが出発すると待合室は誰もいなくなってしまったことが印象に残っています。

滝観洞(1990年撮影)
滝観洞(1990年撮影)

  この住田町へ向かう路線は典型的な山岳路線です。人家のあまりないところを走行するため、郷愁あふれるバス旅を楽しむことができました。

 

 さてこの上有住駅のある北上山地は、大昔、海底にありました。そのため鍾乳洞の元となる石灰岩を多く含んでいるため、この辺り一帯は鍾乳洞の宝庫となっています。そして上有住駅近くにあるのが、滝観洞と白蓮洞です。上有住駅から徒歩わずか3分です。白蓮洞は東日本大震災の影響により閉鎖中とのことですので、ここでは滝観洞のご紹介になります。

白滝洞 ご参考まで(1990年撮影)
白滝洞 ご参考まで(1990年撮影)

  滝観洞はこれまでの調査で総延長3,635m以上と報告されており、国内第10位の長さです。最深部には天井から流れ落ちる落差29mもの滝(通称:天の岩戸の滝)があり迫力満点です。ご参考までですが、当日の私の旅メモには「かなり頭をぶつけながら歩いたが、この滝は感動」と書かれていました。

 

 そして長さや高さ以上に滝観洞の名前を世に知らしめたのは、横溝正史の小説「八ツ墓村」が映画化された時のロケ地の1つだったということです。あのおどろおどろした洞窟のシーン、特にミイラが置かれたシーンは滝観洞で撮影されたようです。

 なお冬期は平日のみの公開のようです。駅からも近く、秘境駅に来たついでに手軽に行けるので是非お勧めです。


【面白山】最寄り駅 仙山線・面白山高原駅<秘境駅ランキング41位>

面白山高原駅(2001年撮影)
面白山高原駅(2001年撮影)

  面白山高原駅は仙山線にある駅で、文字通り面白山に登山する際の最寄り駅になります。仙山線が開業した当初は面白山信号所として開業していましたが、1988年、面白高原駅に改称されました。

 

 仙山線は山形市と仙台市だけを結ぶ路線ですが、奥羽山脈を越えるために、県境辺りは「本当にここが仙台市内(または山形市内)なの?」と思ってしまうような山深いところを走行します。そのため面白山高原駅の乗降客も少なく、仙山線のお隣の奥新川駅(仙台市)と共に、快速列車はすべて通過となります。さらに2023年からは、一部の普通列車も冬期の間は通過駅となりました。

 奥羽山脈の山深いところを走行するため、春の新緑、秋の紅葉は素晴らしい景色を見せてくれます。

北面白山
北面白山(2001年撮影)

  そして面白山高原駅は面白山の登山口になっています。「面白山」というユニークな名前のいわれはいくつかあるようですが、最も有名な説は仙台市から見ると面が白く見えるところから名付けられたということです。

 

 この面白山は仙台市と山形市の境にある標高1264mの低山です。 低山といっても登りごたえのある山です。私は2001年の夏に面白山高原駅から「かもしかコース」経由で登り、北面白山から南面白山への周回コースを歩きましたが、結構ハードな山でした。

 また面白山は低山ではありますが、山深いところを歩いたり渓谷の道沿いを歩いたりすることになるので、それなりの装備が必要です。列車の待ち時間を利用して行くようなものでもないので決してお勧めとは言えませんが、静かな山旅を楽しむことができると思います。私が登山した時も途中でお会いしたのは仙台から来られた2人連れだけでした。


【阿武隈ライン舟下り?】最寄り駅 阿武隈急行線・あぶくま駅<秘境駅ランキング59位> 

あぶくま駅(2010年撮影)
あぶくま駅(2010年撮影)

  あぶくま急行は福島県の福島駅と東北本線の槻木駅を結ぶ鉄道で、旧国鉄丸森線を引き継ぎました。あぶくま駅は宮城県の最南端の駅になります。最南端=県境=山深いという構図の通り、かなり山深いところにある駅です。1988年に開業されました。

 

 駅の真下には阿武隈川が流れており(下記写真ご参照)、駅は少し小高いところにあります。そのようなところから「眼下に風光明媚な阿武隈川渓谷を望む観光駅」として2002年に東北の駅百選に選定されました。

 この阿武隈川は今でこそ風光明媚な観光地になっていますが、古くから年貢米や木材、石炭などの輸送路として利用されてきました。一方、大雨の時は氾濫して水害を引き起こす「暴れ川」としても知られていました。

阿武隈ライン下り乗船場(2010年撮影)
阿武隈ライン下り乗船場(2010年撮影)

  さてあぶくま駅に出向いたときの目的地は、阿武隈ライン下りに乗船することでした。この阿武隈ライン下りは、川下りで有名な最上川ライン下り等と比較すると大変にこぢんまりとしていますが、静かな川下りを楽しむことができます。私が乗船した時は、なんと自分1人の貸し切り状態でした。たった1人にも関わらず、船頭の方は丁寧に周辺を案内してくれました。私も1対1のきまずさを感じながらも、世間話を交えて楽しいひと時を過ごすことができました。 川下りは途中、弘法の噴水、廻石、観音像、夫婦石といった見所を約1時間近くかけてゆっくりと運行します。

弘法の噴水(2010年撮影)
弘法の噴水(2010年撮影)

  ただこの阿武隈ライン下りは2つの周遊コースがあるようですが、直近でHPを確認したところ、私が乗船したあぶくま駅発のコースは、現在「運休中」となっていました。もし行かれる場合は事前にHP等でご確認頂きますようお願いします。

 

 もしこのあぶくま駅発の舟下りが運休ということであれば、あぶくま駅周辺は全く何もないため(笑)、東北の駅百選に選ばれた理由の通り、「眼下に風光明媚な阿武隈川渓谷を望む」が見所になります。そうであっても、写真の通り自然豊かな情景を楽しむことができます。阿武隈川の流れを見て、ゆっくりと悠久のひと時を過ごしてみるというのは如何でしょうか。

 

 またあぶくま駅発の阿武隈ライン下りコースが運休であったとしても、この阿武隈ライン下りはお勧めです。もう1つの川下りコースはあぶくま駅の隣駅である丸森駅が発着の最寄り駅のようです。あぶくま駅まで来られたのであれば、丸森駅まで足を延ばしてこの「阿武隈ライン下り」に乗船されることをお勧めします。冬の期間は、こたつを乗せた「こたつ舟」が就航するようです。


【塔のへつり(お勧め!)】最寄り駅 会津鉄道・塔のへつり駅<秘境駅ランキング80位>

塔のへつり駅(2016年撮影)
塔のへつり駅(2016年撮影)

  塔のへつり駅は会津鉄道の駅です。当初は行楽時期のみの仮乗降場でしたが、1988年に正式な駅として開業しました。2002年には東北の駅100選に選定されました。

 

 本来、駅前は何もない殺風景なところですが、最近は会津地方を題材とした旅番組等ですっかり有名になった「塔のへつり」へ行く観光客や大型の観光バス等で、結構な賑わいになっています。私が塔のへつり駅に出向いたときの目的地も「塔のへつり」でした。塔のへつり駅から徒歩7分程度のところにあります。

塔のへつり(2016年撮影)
塔のへつり(2016年撮影)

  この塔のへつりは、南会津の東部を流れる大川が形成する渓谷で、その河食地形の特異例として国の天然記念物に登録されました。「へつり」という聞き馴染みのない名前は会津地方の方言で、川に迫った断崖を指すようです。実際、多くの奇岩が200m以上続く景勝地となっています。

 

 なお山好きの知り合いから「へつり」は地形を表す言葉ではなく、急な断崖の下を沿うように歩くことを指す「へつる」から来ているのではと情報を頂きました。調べてみると確かに「へつって歩く」という具合に登山用語として使われているようでした。合わせてご紹介させて頂きます。

 

 周辺は樹木に覆われているため、新緑や紅葉の頃は絶景のビューポイントになります。私は新緑の頃に出向きましたが、ぜひ、紅葉の時にも訪れたいと思っています。駅からも近くお勧めです。なお奇岩が崩落の危険があるということで、釣り橋を渡った近辺以外は立ち入り禁止になっています。


【Jヴィレッジ】最寄り駅 常磐線・Jヴィレッジ駅<秘境駅ランキング176位>

Jヴィレッジ駅(2020年撮影)
Jヴィレッジ駅(2020年撮影)

  Jヴィレッジ駅は常磐線の駅で2019年に開業という比較的新しい駅です。平成最後の開業駅のようです。写真をご覧いただければおわかりの通り、新しくできた駅ということもあり、秘境駅らしからぬ極めて近代的な外観となっています。ただ駅前はJヴィレッジと呼ばれるサッカー場等スポーツ設備や宿泊設備があるだけで、恐らく夜間人口はゼロではないかと思うほどの殺風景なところです。その意味で秘境駅と呼べるかもしれません。ちなみに駅の中で唯一、「ヴ」がつく名前のようです。

 

 このJヴィレッジは1997年に日本サッカー初のナショナルトレーニングセンターとして開設されましたが、東日本大震災で周辺の広野町、楢葉町が全町避難となり、Jヴィレッジはスポーツ施設としていったんは全面閉鎖となりました。

Jヴィレッジ・サッカー場(2020年撮影)
Jヴィレッジ・サッカー場(2020年撮影)

  そしてご存じの通り、Jヴィレッジは原発事故収束に向けた作業のための前線基地となりました。テレビ等でもよく報道されていましたが、Jヴィレッジから、毎日、原発のある地までバスでもくもくと通う作業員の姿には頭が下がる思いをしたものです。

 

 避難解除に伴い、Jヴィレッジも徐々に再開され始め、今ではスポーツ球技場はもちろん、サッカー以外のスポーツの合宿地や企業の研修設備、さらにはコンサート会場としても使われています。そして記憶に新しいところでは、2021年の東京オリンピック開催時には、聖火ランナーのスタート地点になりました。

 ただ正直言って秘境駅の周辺探索としては物足りなさを感じるかもしれません(笑)。私も数多く立ち並ぶサッカー場を見て早々に引き返しました。

 

 

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