作成日:2023/7/15
訪問日:2023/6/18
白竜湖 ~消えゆく自然を守りたい~
【カテゴリ:自然】
白竜湖
山形県の置賜地方に白竜湖という湖があります。周囲は山々に囲まれ、ぶどう畑などのどかな田園風景を作りあげており、ふるさとの原風景として知られています。ヘラブナ釣りの絶好の場所として、またハンググライダーの聖地としても知られています。

一方、周辺一帯は、大谷地と呼ばれる10万年前から形成されてきた泥炭湿地であり、白竜湖はその上に浮かぶ湖です。かつて「永荒田」と呼ばれ、収穫の望めない泥炭湿地でした。一歩、踏み込めば泥に沈むため、決して農業には適していませんでした。それでも先人が戦後の食糧増産のため、大谷地の干拓とかんがい用水を整備するなどの努力と苦労を重ねて、現在の豊かな田園地帯を作りあげてきました。足を踏み入れれば胸までつかる湿地では、通常の農具を使用することができず、谷地鎌や谷地舟など独自の農具が工夫されてきました。大谷地が現在の姿になったのは、昭和33年の改良事業によるものです(高畠町郷土資料館資料より)。
この湿地帯としての環境や土壌となる泥炭層が山形県指定天然記念物に登録されています。
白竜湖が消滅の危機!?

ところがこのような豊かな自然が残されている白竜湖ですが、排出する河川がないこともあり、近年、水質の冨栄養化によりヒシが繁茂したり湖面が浅くなるなど、今世紀中の消滅が危惧されています。この豊かな自然を守るための運動も行われているようです。
そのような湖があると聞き、現地に出向きました。なお最初にお断りしないといけません。ここでご紹介するスポットは、実際に足を運んだ地の中から、東北地方の自然や文化のすばらしさをお伝えするために、是非、皆さんにも足を運んで頂きたい場所を選んでいます。ところが今回、ご紹介する白竜湖は、実際に出かけることはお勧めできません。日によって非常に足元が悪くなるため、長靴等の本格的な装備が必要となるためです。実際、私が行った時も、大雨の翌日であったこともあり、足元がぬかるんでいたため、ある地点から進むことができませんでした。今回はこの豊かな自然と生態系の破壊が進む状況を是非知って頂くことを目的にご紹介させて頂くものです。決して足を運んで頂くことをお勧めするものではありません。
白竜湖を訪れる

旅の起点は奥羽本線の赤湯駅です。この赤湯駅は山形新幹線も止まる大きな駅です。また山形鉄道長井フラワー線の始発にもなっている駅です。そしてこの山形鉄道長井フラワー線は、私の大変にお気にいりの路線です。本ブログの別の項「長井フラワー線」でもご紹介させて頂いていますので、合わせてご参照頂ければと思います。
白竜湖に着いたものの・・

さて赤湯駅を出た後は、赤湯の温泉街を抜け、徒歩約30分で白竜湖に到着しました。到着するまでは、SNS等でも言われている通り、周りを一周できるようなコースがあるものと思っていました。ところが湖の近くまで行くと泥炭地であるためか、足元が悪く、危うく足をすくわれそうになり、容易に近づくことができませんでした。丁度、釣りをしている方がいらっしゃったので、湖に近寄るための道順を聞きましたが、ここ最近の大雨のため足元がぬかるんでいるため、長靴などがないとこれ以上、近づくことは危険だということでした。

大雨の後は、かなり遠くまで水かさが増えるようです。ただ湖を一周したというSNSでの投稿もあったので、散策コースがあるのではないかと少しでも近づくことを試みましたが、やはり足元が悪く、これ以上、進むことはできませんでした。周りを見渡しましたが、いずれもこれ以上近づくことができないようです。私が出向いた日がよくなったのでしょうか。残念ながらこれ以上、近づくことは断念しました。

全容を見ることはできませんでしたが、少し遠くから白竜湖を撮影しました。なるほどあたり一帯はどこから湖でどこから平地なのか判別ができないような状態でした。深いところでも水深1mくらいしかないようなので、これ以上、泥が堆積したり、水面に浮かんでいる水草により太陽の光が届かない状態が続いたりすると、いつかは干上がってしまうだろうなと想像がつきました。
調査によると1年に1センチの速さで浅くなっているようです。水深が1mとすると100年後には干上がってしまうことになります。以前、この白竜湖の自然環境をよみがえらせるために、ヒシを刈り取ることにより水質を改善させるためのプロジェクトがあったようです。プロジェクトの前には1年に1センチの速さで浅くなっていましたが、ヒシを除去することにより、浅くなる速さは1年あたり0.5センチとそれなりの効果はあったようです。それでも200年後には湖が消滅することになります。実際、専門家はプロジェクト後も消滅の危機が消え去ったわけではないことを危惧されているようです。

なお今回は水量が多かったため、近くまで行くことができませんでしたが、白竜湖を空から取った写真がネットでも出ています。このあたりは南陽スカイパークと呼ばれるスカイレジャーエリアになっており、日本有数のハングライダーの聖地になっています。世界選手権も開かれたことがあるようです。下からはほとんど確認することができなかった白竜湖の全容も空から見ればよくわかるようです。私の場合、奥羽本線の車窓から撮影してみました。
このような自然と生態系の破壊は全国至るところで起きています。是非、先人たちが残していった豊かな自然と生態系を我々の子孫に残していきたいものです。
<関連情報>
①是非、立ち寄りたい周辺のお勧め
赤湯温泉
米沢盆地の北東部にある静かな温泉街。共同浴場が多いことでも知られており、飲泉湯や足湯もある。赤湯駅から徒歩12分。
烏帽子公園(1999年撮影)
桜、松、楓などが配置されており、四季折々に景観と眺望を楽しむことができる。さくら名所100選(財団法人日本さくらの会)にも選定されている。赤湯駅から徒歩13分