作成日:2021/12/18

訪問日:1990/ 4/28

 

魹ケ崎(とどがさき) ~本州最東端の地を歩く~

 

【カテゴリ:自然】


本州の最東端の地

 

  本州の最東端はどこにあるかご存知でしょうか。日本の地図を眺めると、岩手県の沿岸辺りに本州最東端の地があるのだろうなと想像がつきます。今回、ご紹介する魹ケ崎がそれにあたります。場所は岩手県宮古市です。GWの新緑の美しい時期に、鉄道とバスと徒歩で本州最東端の地に出向きました。

 

 旅の起点は岩手県沿岸の主要駅である宮古駅です。宮古駅までは幾つかのルートがありますが、岩手県の県庁所在地である盛岡からJR山田線もしくは106急行という愛称で親しまれている急行バスで行くのが人気の路線です。いずれも北上山地の山深い懐を走るので、自然一杯の景色を楽しむことができます。

山の中なのに宮古市?

 

盛岡駅
盛岡駅

  私が初めて宮古市を訪れたのは、1985年のGWです。その時は、盛岡駅から106急行のバスで向かいました。それから約35年後の2019年に宮古市を訪れる機会があったのですが、幾つかの変貌に驚きました。まず宮古市が大きくなっていることです。106急行のバスに乗る場合でもJR山田線を使う場合でも、盛岡駅から宮古に向かうためには、北上山地を越えるため、盛岡駅を出ると、早速、山深い道路(線路)を走ることになります。驚いたことにそこは既に宮古市内になっていたのです。まだ深い山の中です。宮古市は沿岸の町というイメージがあったこと、また宮古市にたどり着くまでには、幾つかの町村を通る必要があるという記憶があったので、調べてみました。

宮古駅
宮古駅(1990年撮影)

  なんと平成の市町村合併により、宮古市は周辺の町や村を合併して、岩手県で最も面積の広い自治体になっていました。この広い岩手県で最も面積が広い市町村というのは驚きです。従って、盛岡を出るとすぐに山深い道(線路)になるのですが、そこは既に宮古市なのです。さらにその宮古市に入ってから、ほぼ真東に向かい1時間以上も急行バスに乗り、ようやく宮古駅に到達します。ほぼ直線で1時間以上もバスに乗るというのは、いかに宮古市が大きいかという証でもあります。 

姉吉バス停
姉吉バス停

  もう1つ驚いたのは、1985年の時点では急行バスしかありませんでした。車内では、この道を切り開いたお坊さんのビデオを放映していました。同じバスを何度か利用したので、若干、見飽きたことを覚えています。今では特急バスが新設されていて、時間も短縮され、さらに便数も増えて大変に便利になっていました。JR山田線の本数の少なさの裏返しともいえますが、列車とバスを移動の基本とする私にとっては、大変にありがたいことです。

魹ケ崎に向かう

 

本州最東端の碑
本州最東端の碑

  さて時計を30年前に戻します。その時は、定番の急行八甲田に乗り、早朝の盛岡駅に到着後、JR山田線で宮古駅に向かいました。宮古市の市内を少し散策した後、バスに乗り魹ケ崎の最寄りのバス停である姉吉に向かいます。

 

 事前に宮古駅で聞いた時には、姉吉のバス停から魹ケ崎までは、徒歩で1時間10分程度ということでした。余裕で徒歩圏内です。早速、バス停から歩き始めました。道は山沿いの道であったり、海岸沿いの道であったり、のどかな景色が続きます。ただ1時間10分の道のりと思っていたので、途中、「魹ケ崎まであと1時間30分」という標識を見た時は、さすがにガクッときました。もちろん余裕の徒歩圏内です。最終的にはなんてことはなく、バス停から45分で魹ケ崎に到着しました。 

最東端の地

 

魹ケ崎灯台
魹ケ崎灯台

  そこには、本州最東端の碑と灯台がありました。灯台は、太平洋戦争の終戦間際に被災したあと、昭和25年6月に復旧したようです。またこの灯台は、昭和32年発表の木下恵介監督の映画「喜びも悲しみも幾年月」の舞台にもなった灯台のようです。正確に言うと、実際のロケには出てきませんが、ここの灯台守の方が書かれた手記がきっかけになって映画が出来たようです。実は私は学生時代に古い映画(いわゆる名画)を見るのが好きで、この「喜びも悲しみも幾年月」を見て感動したことを覚えています。余計に親しみを持つことが出来ました。

 この映画を見た先入観からか、灯台守というのは比較的ご年配の方がいらっしゃると思っていましたが、この灯台には着任早々の若い方がいらっしゃいました。話も合い、いろいろと案内をして頂き、楽しいひと時を過ごすことができました。

証明書をゲット

 

本州最東端訪問証明書
本州最東端訪問証明書

  断崖絶壁の魹ケ崎から望む太平洋は、「雄大」の一言です。例によりバスの発車時刻が迫ってきたので、名残惜しくも魹ケ崎の地を後にしましたが、是非、今度は早朝に来て、本州で一番早いご来光を仰ぎたいと思います。

 なおこの地を訪れた記念の「本州最東端訪問証明書」が宮古駅で発行されていました。駅で発行するものですから、もちろん実際に行ったかどうかは関係なさそうです。実におおらかな証明書です。

 

 新緑と雄大な海が素晴らしい道のりで、これぞ「鉄道とバスと徒歩を使って東北を歩く」真骨頂のような旅でした。ちなみに調べてみたところ、この宮古駅から姉吉へのバスは、現在も健在のようです。


<関連情報>

追加情報

最新の情報によると、魹ケ崎までのアプロ―チは、2011年東日本大震災、2019年台風19号による影響を受けているようです。お出かけの際は必ず最新のアクセス情報をご確認頂くようお願いします。

 

③是非、立ち寄りたい周辺のお勧め  

浄土ヶ浜

浄土ヶ浜(1985年撮影)

宮古市の代表的な観光地。天保年間に宮古山常寺七世の霊鏡竜湖が「さながら極楽浄土のごとし」と感嘆したところから名づけられた。JR宮古駅から徒歩45分

水産科学博物館

横山八幡宮(1985年撮影)

宮古の地名の由来ともなったと言われている古い神社。また平泉を脱出した義経主従がこの横山八幡宮に立寄り、大般若心経100巻を奉納したという伝説も残っている。宮古駅から徒歩10分

三王岩

三王岩(1985年撮影)

宮古市北部の田老地区にある景勝地。男岩、女岩、太鼓岩がそびえたつ。1992年に岩手県指定天然記念物に登録された。三陸鉄道新田老駅から徒歩20分