作成日:2021/8/29
訪問日:2017/6/11
掬粋巧芸舘 ~偶然に見つけた隠れた名所~
【カテゴリ:文化・遺産】
偶然に見つけた名所
「すごい、これはすごい!」、何度叫んだことか。私は美術工芸品の専門家ではありません。そんな私でもここで陳列されている巧芸品の価値は理解できました。こんなとっておきの穴場を「偶然に」見つけました。旅の醍醐味は、もちろん予め目的地を決めて、それに向かってアクセス経路を調べて出向くことですが、その旅程で、偶然、穴場的なものを見つけた時の喜びです。それが、今回、ご紹介する山形県の掬粋巧芸舘です。
川西町を訪れる

その日、別の目的で山形県の川西町に出向いていました。川西町は山形県の南西部に位置する人口15,000人規模の小さな町です。当日の目的地は、作家井上ひさし氏寄贈の「遅筆堂文庫」、「ダリヤ園」その他でした。最寄りの駅は、米坂線の羽前小松駅になります。
この米坂線は、山形県の米沢駅から新潟県の坂町駅までを結ぶローカル鉄道ですが、2hrに1本程度のダイヤのため念入りな下調べが必要です。途中駅の今泉駅では、山形鉄道長井フラワー線と接続しており、こちらの方は1hrに1本程度の割合です。長井フラワー線の接続状況が悪い場合は、米沢駅から米坂線に乗り今泉駅まで行き、そこから長井に向うこともできます。まるで刑事ドラマの時刻表トリックに出てきそうです。右の写真は羽前小松駅ですが、御多分に洩れず無人駅です。
なお山形鉄道長井フラワー線は私の大変にお気に入りの路線です。別ページ「長井フラワー鉄道」 で詳しく触れていますので、ご参照頂ければ幸いです。
掬粋巧芸館との出会い

さて羽前小松駅から川西の街並みをブラブラ歩いていると、「掬粋巧芸舘」の案内を見つけました。「なにか面白そうだ!」長年の勘と経験が、私をその巧芸舘に向かわせます。
掬粋巧芸館は羽前小松駅から徒歩約10分のところにありました。すぐに発見しましたが、館内に入ると、受付らしき方がいらっしゃいません。いろいろ探してみましたが、ようやく職員と思しきお年を召された方が出てこられました。その時に分ったことですが、実は掬粋巧芸舘自体が事前予約制のようでした。もちろん、偶然に見つけたなど言えず、なんとかお願いして中を見せてもらいました。ただお年のためか案内を頂く時の足元がおぼつきません。予約もなしに、本当に申し訳ないことをしました。
掬粋巧芸館を見る

展示物のある建物は受付のある建物とは別にありました。ここでは、日本・中国・朝鮮を中心とした古陶磁器、書画、刀剣、仏像など600点ほどが収蔵・陳列されていました。これらは樽平酒造の創業者である井上氏が明治末期より集めたコレクションのようです。ちなみに樽平酒造は掬粋巧芸舘の道路向かいにあります。改めて見ると、樽平酒造の入口に「掬粋工芸館受付」と書かれていました。そうとも知らず掬粋工芸館に飛び込みで入ってしまい、返す返す申し訳ないことをしてしまいました。
ちなみにこの樽平酒造は昔ながらの伝統ある手作りをモットーに、本物の酒造りをするという本格的な日本酒造りをしている会社です。

掬粋工芸館の中に入りました。とにかく驚いたのは展示物には紀元前のものが数多くあり、素人ながらもこれは重要文化財級(むしろ国宝級?)の逸品ではないかと思うような古い陶器等が、保存状態のよい状態で数多く陳列されていたことです。所蔵品の1つである、「染付飛鳳唐草文八角瓢形花生」は、実際に重要文化財でした。世界的にも名品のようです。ただ所蔵品ということなので、当日、実際に展示されていたかは、定かではありません。何度も「これは凄い」と声を出してしまいました。
また建物自体も格式のあるものでした。後で調べたところ、開館が1932年で、日本の私立美術館の中でも、歴史の古いものの1つのようです。陳列されている建物はそれほど広くはないのですが、時間の経つのも忘れて見入ってしまいました。ただ案内頂いたご老人には、ずっと待っていただいていたので、予約もなく訪れたことの申し訳なさもあり、30分ほどで見学を切り上げました。
偶然に素晴らしい美術館を見つけた興奮と、なぜこれほどの重要文化財級の展示物が、このような小さな街(地元の方、ご免なさい!)の小さな美術館に展示されているのかという思いを引きずりながら、次の目的地に向かいました。
とにかく美術品に詳しくない方でも、ここで展示されている陶芸品のすばらしさに驚かれることと思います。
<関連情報>
①現在(21年8月末日)、掬粋巧芸舘は新型コロナ禍のため、閉館しているようです。また今後、開館された場合でも、事前予約が前提のようですので、くれぐれもご留意頂くようにお願いします。
➁是非、立ち寄りたい周辺のお勧め
ダリヤ園
約4ヘクタールの園地には、8月から11月にかけて、約10万本のダリヤが咲き誇る。米坂線羽前小松駅から徒歩12分
遅筆堂文庫
川西町出身の小説家井上ひさしの蔵書22万冊が収蔵されている。米坂線羽前小松駅から徒歩約5分