作成日:2023/1/1  

訪問日:2020/6/21

 

ゆりあげ港朝市と

かわまちてらすの北限のしらす

 

【カテゴリ:文化・遺産】


変わりつつある旅のテーマ

 

 東北地方の文化や自然に魅せられてしまい東北地方に通い始めてから40年近くがたちますが、当初と比べて旅のテーマが変わってきたようです。以前は「自然」や「お祭り」「鉄道」「山」が中心だったのですが、最近ではこれらに加えて、「義経伝説」「奥の細道」「博物館」「酒蔵巡り」などといった「文化」「歴史」に関するテーマが増えてきました。こういった新しいテーマが増えるたびに、東北地方をめぐる旅もループしてしまい、40年かけてもまだ続いているのです(関連記事「自然から文化へ」)。 

神子田朝市(盛岡市)
神子田朝市(盛岡市)

  そしてその新しいテーマの1つが間違いなく「朝市」です。20~30代の時もその地方の朝市には必ず出かけていたのですが、今思い出すと観光ガイドに載っていたので行っただけでした。要はその場所に行ったというカウント稼ぎだったようです。その結果、多くの有名な朝市には出向いたのですが、何を食べたのか、どんな雰囲気であったのか、ほとんど記憶と記録がないのです。なんというもったいないことをしたのでしょうか!その土地の名産物を食べたり、その土地の方とお話したりすればよかったと悔やまれて仕方ありません。今からでも遅くありません。朝市も旅の主要なテーマの1つに掲げて、その地を訪れるようにしたいと思います。

ゆりあげ港朝市

 

ゆりあげ港朝市
ゆりあげ港朝市

  今回、出向いたのは、宮城県名取市にあるゆりあげ港朝市です。江戸時代から漁港として栄えていた閖上(ゆりあげ)地方は、近くの運河を利用して仙台城下へ海産物を運んでいたという歴史があります。今から約40年前ですから、丁度、東北地方の旅を始めたころに、この閖上地区にも朝市が生まれたことになります。

 当初は海産物が中心だったようですが、お客さんが増えるに従い野菜や日用品などを扱うようになり、どんどん規模が大きくなりました。水餃子や天ぷらパンなどの名物グルメも生まれ、賑わいを増していきました。

 

 余談になりますが、閖上の「閖」の文字は、日本で作られた国字のようです。昔、伊達藩4代藩主伊達綱村が寺の山門から海を望んだ時に「門の中に水が見えた」ことがきっかけのようです。ただ純粋な国字ではなく、中国などに同じ字体の字があることを知らずに作られたという説もあるようです。

震災と復興

 

かわまちてらす
かわまちてらす

  ただ閖上地区は海岸に近いということもあり、2011年3月11日の東日本大震災では、壊滅的な被害を受けてしまいました。しかし震災のわずか約2週間後には、近くの大型商業施設の駐車場を借りて、仮の姿ではありますが、朝市が復活して閖上地区の住民の交流の場になったようです。そしてだんだんと閖上地区の朝市の再開の機運が高まり、2013年12月に「ゆりあげ港朝市」が復活しました。

 

 それから約5年半後、ゆりあげ港朝市から徒歩約15分の地に新しい商業施設「かわまちてらす」が生まれました。ここは平屋建て3棟の中に20件以上の飲食店や海産物、スィーツなどの店が軒を連ねています。名取川沿いにオープンテラスとなっているので、オーシャンビューを楽しみながら食事を味わうことができるとのことです。

 このように昔からある朝市と最近できた商業施設が隣接した地にあると聞き、早速、出向きました。

ゆりあげ港朝市を訪れる

 

仙台空港線美田園駅
仙台空港線美田園駅

  閖上地区に出向いたのは、2020年の6月21日でした。2020年といえば、コロナによるパンデミックになった年で、4月には全国に初めて緊急事態宣言が発動されました。同時に2020年といえば、東日本大震災の影響で長期間普通となっていた常磐線が、何度かの部分開通を経て3月14日に全面開通した年でもあります。常磐線はJRの鉄道の中でも「本線」ではない路線の中で最も長い路線です。この常磐線は乗車していない区間が多くあったので、全面開通の日を楽しみにしていました。

 

 このように2020年は、何回かにわけて東北本線(仙台駅~岩沼駅間)と常磐線の東北地方部分(岩沼間~勿来駅間)を旅しました。ちなみにゆりあげ港の朝市に出向いたのは、コロナ禍による全国的な緊急事態宣言が解除された直後です。そしてその約1か月後には、同じ名取市の雷神山古墳を訪れました(関連記事「雷神山古墳」)。 

地図アプリに振り回される

 

閖上朝市への道のり(広瀬川沿いを歩く)
閖上朝市へ道なき道を広瀬川沿いに歩く

  旅の起点は、仙台空港鉄道の美田園という駅です。実はこの仙台空港鉄道についてもこれまでに乗車したことがありませんでした。開業が2007年ということですから比較的最近に出来た路線のようです。文字通り仙台空港に行くための路線で、仙台駅からは東北線経由で直通運転も行っています。

 

 さてゆりあげ港朝市は美田園駅より徒歩45分のところにあります。余談ではありますが、以前はその地を訪れると、まず駅にある観光案内所に行き、そこで地図をもらい、その地図を頼りに目的地を訪れたものです。今は地図アプリさえあれば、ほぼ全国どこでも経路案内をしてくれます。本当に便利な時代になりました。ただ時々、地図アプリはとんでもない経路を案内してくれます。今回、このゆりあげ港朝市も、とても正規の道とは思えない、ほとんど堤防の上を歩くような経路を案内してくれました。直線距離ではもう少し早く到達する予定でしたが、45分もかかってしまいました(関連記事地図からMAPへ」)。 

メイプル舘
メイプル舘

  美田園駅から45分かけてゆりあげ港朝市に到達しましたが、それなりの賑わいでした。実はもう少し賑わっているのかなと思っていたのですが、コロナ禍による緊急事態宣言が明けて間もないということもあり、予想していたよりも少ないように感じたようです。ちなみに最近の状況をネット等で調べてみましたが、大変な賑わいになっていました。

 

 朝市では約50の店が出店していますが、名物料理である水餃子、天ぷらパン、焼きおにぎりなどをたっぷり食べました。どれも噂通り大変に美味しかったです。魚の鮮度がいいため、遠くから訪れる人も多いようです。ただ当日、もう1つの目的である「北限のしらす」を食べるために、少しお腹を残しておくことは忘れませんでした。

 近くにはカナダが支援して作られたメープル舘があります。朝市は日曜日祝日のみの営業ですが、ここメープル舘は平日も営業をしているようです。

みちのくトレイル名取センター
みちのくトレイル名取センター

  少し離れたところに「みちのくトレイル名取センター」がありました。ご存知の通り「みちのくトレイル」は東日本大震災の復興を祈念して、環境省を中心に作られた東北地方沿岸の遊歩道です。青森県の八戸から福島県の相馬市までの4県28市町村をつなぐ全長1000kmを超える壮大な自然歩道です。その拠点がいくつかあり、最も大きなものが、「みちのくトレイル名取センター」です。私もみちのくトレイルの名前は聞いており、まさに「東北を歩く」の究極のテーマとは思っていますが、この年にして1000kmもの道を歩くだけの体力と時間があるのか、今後の新たな検討課題になりそうです。

かわまちてらすを訪れる

 

かわまちてらす
かわまちてらす

  ゆりあげ港朝市を後にして向かったのが、徒歩約15分のところにある「かわまちてらす」です。ここは名取川沿いに2019年にオープンした商業施設です。平屋建ての建物に20件ほどのテナントが並んでいて、地元の食材を生かした食事やフルーツを味わうことができます。ただすでにゆりあげ港朝市でお腹が一杯の状態でしたので、ここでは名物の北限のしらすだけを食べました。

 

 しらす漁について調べてみたところ、2017年の7月より閖上港等によるしらす漁の操業が本格的に始まり、北限のしらすとして有名になったようです。ただこれまでにももっと北の方でしらすを食べたことがあるような記憶がありますが、確かな記憶と記録がありません。恐らく食べたとしても別の港で取れたしらすを食べたと思われます。その地区で取れるしらすとしては、ここが北限であるとのこと、信じることにしましょう。

洞口家を訪れる 

 

洞口家住宅
洞口家住宅

  ゆりあげ港の朝市とかわまちてらすでたっぷり食事を取った後は、近くにある「名取市震災伝承館」と「洞口家住宅」を訪れました。洞口家住宅は「かわまちてらす」から徒歩30分のところにありました。平面間取りで田の字型をした仙台領内最大規模の古民家ということで、国の重要文化財に登録されています。のどかな農村地帯を歩いていると忽然と現れました。大変な掘り出し物でした。

 

 是非、ゆりあげ港朝市とかわまちてらすで地元産の食事をした後、国の重要文化財でもある洞口家を訪れてみませんか?すべて歩くにはなかなか手ごたえのある距離ですが、楽しい1日を送ることができると思います。


名取駅(2020年撮影)
名取駅(2020年撮影)


<関連情報>

是非、立ち寄りたい周辺のお勧め

名取市震災伝承館
名取市震災伝承館
慰霊の塔
慰霊の塔