改定日:2024/9/15
仙山線各駅停車 ver2
【カテゴリ:鉄道、自然、文化・遺産】
仙山線各駅停車

仙山線は仙台駅と山形駅を結ぶJRの路線です。正確にいうと仙台駅と奥羽本線の羽前千歳駅間が仙山線とされていますが、山形県側はすべての列車が山形駅まで乗り入れているため、実質は仙台駅~山形駅を結ぶ路線となっています。沿線は歴史と自然に満ち溢れており、特に県境あたりは「本当にここが仙台市内(山形市内)?」と思うほど山深いところを走行します。
さてこの愛すべき仙山線には幾つかの特徴があります。
<特徴①>隣り合った県の県庁所在地だけを結んでいる
仙山線は山形市と仙台市という県庁所在地同士を結ぶということだけではなく、県庁所在地しか走行しません。宮城県側は仙台市内のみ、そして山形県側も同じく県庁所在である山形市内のみを走るという全国的にも非常に珍しい路線です。逆にそれだけ仙台市と山形市が広いと言えそうです。
<特徴②>日本初の交流電化区間である

ご存知の通り交流による電化のメリットは、変圧器を用いることにより2万ボルトといった高圧の電流を変電所から離れた場所まで損失少なく電力を送ることが可能であることです。今では特に地方部において交流電化による鉄道が一般的となっていますが、この実用化を最初に試験走行したのが仙山線でした。
なぜ仙山線が選ばれたのかについては幾つか理由があったようですが、それなりに負荷試験を行うために適した勾配があることなどのようです。最終的に試験区間は北仙台駅から作並駅間で行われました。作並駅構内には「交流電化発祥」の碑が建てられています。
<特徴③>新幹線と在来線の線路が並走している

羽前千歳駅~山形駅間は山形新幹線も通るために新幹線の線路規格である標準広軌となっていますが、仙山線も走行するため狭軌の線路も並走します。1999年の山形新幹線の新庄駅延伸に伴い、奥羽線が狭軌から新幹線仕様の標準軌になりましたが、一方、この区間は仙山線、左沢線も乗り入れることもあり、狭軌の列車が走行できるように狭軌の線路が残されたのです。羽前千歳駅では東から進入する(もしくは東へ向かう)仙山線が線路の東側、そして山形新幹線も走行する標準広軌の線路が西側を走行するというユニークなシーンを見ることができます。
発展する仙山線沿線

さて仙山線は、開業以降、大きく発展をとげ、北山駅、国見駅、東照宮駅、葛岡駅、東北福祉大前といった新しい駅の開業が相次ぎました。このあたりは仙台のベッドタウンとして拓け、周辺の人口も増えたことにより、多くの駅は請願駅として実現されたようです。特に仙台駅~愛子駅間は仙台の近郊区間として、通勤・通学の利用者が多く、概ね1時間あたり2~4本の列車が運行されています(都会の方から見ると、1時間にたった2~4本?と言われるかもしれませんが(笑))。一方、途中の愛子(あやし)駅を境として大きく様相が変わります。急に景色が山岳地帯へと移り変わり、列車の運行本数も1時間あたり1本程度に減るという閑散区間になります。
これまでに仙山線を何度か乗車してきましたが、そのたびに新しい発見の連続でした。ここでは仙山線の魅力をお伝えするために、実際に訪れてきた中から、各駅につきお勧めスポット1箇所を厳選してご紹介させて頂きたいと思います。もちろんすべて駅からの徒歩圏内です。

なお仙山線はかなりの部分を国道48号線(作並街道)と並行して走行しています。この作並街道は昔から愛子、作並、熊ヶ根といった宿場町として栄えてきました。この作並街道についても数回にわたり歩いてきました。このページでは主に仙山線沿線(今回は宮城県側)の少し有名どころをご紹介させて頂き、昔ながらの宿場町については別途「作並街道を歩く」でご紹介させて頂きたいと思います。
東照宮(東照宮駅)
徳川家康をまつる東照宮は、江戸時代に徳川家との結びつきを強めようとして競うように勧請され、その数は全国に500以上と言われています。東北地方でも弘前藩や会津藩で造営され、仙台藩でも伊達政宗が徳川家康との結びつきを強めるために1654年に造営されました。仙台藩あげての大事業だったようです。特に仙台の東照宮は、全国に造営された東照宮の中でもすぐれた建築様式と言われているようです。本殿、随身門、鳥居などが国の重要文化財、手水舎は県の指定有形文化財に登録されています。仙山線の東照宮駅から徒歩3分のところにあります。


青葉神社(北仙台駅)

青葉神社は、伊達政宗を祀る神社として1874年に創建されました。当初は仙台城内にありましたが、1922年より社殿の改築が始まり、1927年(昭和2年)に現在の社殿が完成しました。近くには伊達家の菩提寺である東昌寺がありましたが、東昌寺の敷地の多くが青葉神社に提供されました。本殿内には伊達政宗夫人の愛姫(めごひめ)を祀る愛姫神社があります。
毎年、仙台の初夏の行事として行われている仙台・青葉祭りは、伊達政宗の命日である5月24日に青葉神社で執り行われていた春の例大祭に由来したものと言われています。
余談になりますが、この青葉祭りのメインイベントである「すずめ踊り」は、私が2010年に仙台市内の定義如来を訪問した際にお会いした地元の方にお勧め頂いたものです。祭りの期間中、仙台市のいたるところで繰り広げられます。飛び入り参加はできないようですが、是非、一見の価値はあると思います。


資福寺のあじさい(北山駅)

資福寺は臨済宗のお寺で、鎌倉時代に長井時秀によって建立されました。最初は山形県の高畠地域に建立されましたが、江戸時代になり今の地に移転となりました。仙山線の北山駅から徒歩10分のところにあります。ちなみにここ北山駅周辺は、多くのお寺や神社が密集した閑静な街並みです。
資福寺はいわゆる「アジサイ寺」として知られており、約1200株の紫陽花が植えられています。私も丁度、紫陽花の季節に合わせて6月の中旬に訪れましたが、多くの人で賑わっていました。紫陽花そのものは、世の中にいろいろある「アジサイ寺」ほどの数ではありませんでしたが、白いアジサイが多いということで有名のようです。


なお北山駅の周辺には、本ブログでもご紹介した防空壕が今でも残っている御嶽三吉神社、江戸時代に飢饉で亡くなられた方を供養するために建てられた叢塚(くさむらづか)のある大法寺などもお勧めです。
国宝大崎八幡宮(東北福祉大前駅)

東北福祉大学前駅はその名が示すように東北福祉大学の最寄り駅です。東北福祉大学が全額費用負担するということで請願駅として2007年に開業しました。周辺には見所が多いのですが、やはり国宝大崎八幡宮をはずすわけにはいかないようです。その歴史は古く、なんと平安時代に坂上田村麻呂が宇佐八幡宮を現在の奥州市に勧請したことが始まりとされています。室町時代になり大崎氏が自領内に遷したため、大崎八幡宮と呼ばれるようになりました。その後、仙台藩祖伊達政宗の命により仙台の総鎮守として青葉城の北西方向である現在の場所に創建されました。権現作りの社殿は、現存する日本最古の桃山建築とされており、国宝建造物に登録されています。また社殿前の長床は重要文化財として登録されています。

1年を通していろいろな行事が執り行われています。秋の例大祭では無形民俗文化財の神楽や藩政時代から続くとされている流鏑馬などが周辺地域を含めて執り行われます。またパワースポットとしても知られています。私が2023年の4月に出向いた時も、最近不運続きのために訪れたという地元の方にお会いしました。
なお仙台駅からバスで向かうと大崎八幡宮の正面に止まるのですが、東北福祉大前駅から徒歩で向かうアプローチが気にいっています。社殿の裏側から入ることになりますが、人通りも少なく静かな参拝を楽しむことができます。東北福祉大前駅から徒歩16分です。

三居沢発電所と電気百年館(国見駅)

三居沢発電所は明治21年(1888年)東北で電気が初めて灯った場所、そして日本最古の水力発電の発祥の地と言われています。今もなお発電所としての機能を有しており、現在は東北電力が管理・運用しています。1999年には国の登録有形文化財に登録されました。
1988年には東北で初めて電気が点灯してから100周年を記念して、発電所の隣に三居沢電気百年館が建てられました。建物自体は大きくはありませんが、電気事業の歴史や三居沢発電所の歩みなどを学ぶことができます。また隣接する発電所の様子を見学することができます。なおHP等によると予約が必要とありましたが、特に予約は不要でした。
近くには「三居沢不動尊」や「三居沢交通公園」などもあり、家族連れでゆっくりと楽しむことができます。国見駅から徒歩18分です。

なおご参考までですが、仙山線の国見駅から歩いていけるお勧めスポットとして三居沢電気百年館をご紹介させて頂きましたが、近くには仙台市営バス「るーぷる仙台」が停車しますので、あえて国見駅から歩くまでもないかもしれません。というのは国見駅から歩いて行くには急こう配の坂を下る(戻りの場合、急こう配の坂を上る)必要があります。坂の名前も「唸(うなり)坂」と呼ぶようです。私の拙い撮影技術ではその急こう配ぶりがうまく表すことができませんが、下の写真は唸り坂を上から撮影したものです。

葛岡城跡(葛岡駅)

仙山線の葛岡駅から徒歩10分のところに葛岡城跡があります。徒歩10分といっても結構な坂道です。そういえば先にご紹介したお隣駅の国見駅から三居沢発電所までの道のりもかなりの坂でした。仙山線はかなり山側を走行しているのでしょうか。
また気のせいでしょうか、葛岡城跡周辺は、セレモニーホールや墓石の販売が多いようでした。

さて葛岡城跡は土塁が結構良好な状態で残されています。建てられている標柱には「城主は国分能登守盛氏の家臣である馬場筑前入道清説(きよもり)」とあります。築年は不明のようです。実は知られているようで知られていないのですが、伊達政宗が支配する前は、仙台を支配していたのは国分氏と言われています。伊達家と比べて国分氏が隆盛を極めた痕跡はあまり多く残されておらず、こういった地方の城跡に面影を残しています。ちなみに仙台市内を代表する繁華街国分(こくぶん)町は、国分(こくぶ)氏に由来していると言われています。広瀬川対岸にある郷六館とともに、仙台城の立退路もしくは防御機能をもっていたのではないかとされている、非常に重要なお城だったようです。

鬼子母神堂(陸前落合駅)

陸前落合駅から南へ徒歩7~8分のところに鬼子母神堂があります。このあたりは栗生(くりう)地区と呼ばれており、伊達政宗の長女五郎八姫(いろはひめ)の屋敷があったとされています。五郎八姫はキリシタンであったと言われており、栗生地区は隠れキリシタンの地であったようです。
隠れキリシタンの地であることを示すお祭り「鬼子母神祭」が250年以上前から続けられています。これはよくある地域のお祭りのように賑やか盛大に行うものでもなく、限られた家だけでひっそりと行われるようです。

旧歴の八月十五日の夜、当日は信者の家長が袴姿でお膳を持ち、家族とも一切口をきかず草履をはいて静かに家を出てお詣りするというものです。その間、他人はもちろん信者同士でも逢わないようにします。家長が家に戻るとようやく家族は話をすることができるようになります。もちろんこういった儀式ですので、私のようなよそ者が見る機会はありません。お祭りというより信者が静かにお詣りに行くといった方がよいのでしょうか。

仙台市天文台(愛子駅)

「愛子」と書いて「あやし」と呼びます。よくクイズ番組などで珍名駅当て問題でも出てくる駅です。2001年に当時の皇太子徳仁親王の長女である愛子様が誕生した時には、全国的に有名な駅になり、入場券を買い求めるために行列が出来たそうです。仙山線の中では中心的な駅です。
この愛子駅周辺には旧作並街道の愛子宿等、見所が多いのですが、是非、仙台市天文台をお勧めしたいと思います。なお旧作並街道の愛子宿等については、「作並街道を歩く」でご紹介させて頂いています。

仙台市天文台は愛子駅から徒歩20分のところにあります。これまでに2度の変遷を経て、2008年に現在の場所に設立されました。2023年にプラネタリウムのリニューアルが完成予定と聞き、それを待って訪れました。
ここの天文台は小惑星の発見でも実績があるようで、1988年に発見された小惑星の名称は「愛子」と名付けられています。実は訪問するまでは、プラネタリウムが設置された子供向けの天文台と思っていましたが、プラネタリウムはもちろんのこと、加えて展示室には、地球・太陽系・銀河系などに関わる展示や、江戸時代に作られたという「渾天儀(こんてんぎ)」や「天球儀」「象限儀」などが展示されており、大人でも見応え十分でした。ちなみに「渾天儀(こんてんぎ)」や「天球儀」「象限儀」などは重要文化財に登録されています。
なお余談になりますが、2024年に久しぶりに愛子駅を訪れて大変に驚いたことがあります。愛子駅から天文台に向かう途中に巨大なショッピングモールとスパが出来ていたのです。また大変にモダンな住宅も数多く整備されていました。以前はこのあたりは何もない原野だったと覚えています。大変な変わりようでした。


(陸前白沢駅)

ここ陸前白沢駅周辺は沿線屈指の見所の少ない駅です(笑)。作並街道沿いに作並駅から愛子駅まで歩きましたが、やはりお勧めスポットがありませんでした。実は仙山線と並走する国道48号線(作並街道)が陸前白沢駅近くで秋保大滝に向かう国道457号線との別れがあり、バス好きな者としては立派なお勧めどころなのですが、それではあまりにも寂しいのでもう少し周辺のお勧めスポットを探してみることにします。
広瀬川第2橋梁(熊ヶ根駅)

広瀬川第2橋梁は陸前白沢駅と駒ケ根駅の間にかかる橋で、日本では数少ないトレッスル橋です。1931年に完成しました。
トレッスル橋とは末広がりの橋脚を、多数短スパンを使うことにより橋桁を支える橋のことです。水面からの高さは52mで、調べた限りトレッスル橋の中では全国第1位の高さのようです。そもそも現存するトレッスルタイプの橋は全国で7つしかないようです。仙山線の中でも難工事の1つだったという記録がありました。
撮影時は仙山線が通過するタイミングを狙ってシャッターチャンスを待っていましたが、このあたりになると列車の本数も少なく仙山線の通過時刻とうまく合わなかったため、橋だけの写真となってしまいました。なお熊ヶ根駅周辺には、旧作並街道の熊ヶ根宿跡、関所神社など、見所が多いのですが、これらについては、「作並街道を歩く」でご紹介させて頂いていますので、合わせてご参照頂ければ幸いです。

鳳鳴四十八滝(作並駅)

作並駅は仙台の奥座敷としても有名な作並温泉の最寄り駅になります。ただ温泉街は作並駅から3km離れたところにあるので、宿泊客の多くは旅館の送迎バスを使うようです。実際、私が訪れた時も作並駅は送迎バスを待つ宿泊客で賑わっていました。
さて作並駅周辺の見所として、作並温泉、旧作並宿、ニッカウヰスキー仙台工場などがありますが、ここでは鳳鳴四十八滝をお勧めしたいと思います。旧作並宿跡等については、「作並街道を歩く」でご紹介させて頂いていますのでご参照頂ければ幸いです。

鳳鳴四十八滝は、作並駅から徒歩25分のあたりの広瀬川の上流、国道48号線沿いにあります。滝は文字通り数多くあり、国道沿いの展望台から望むことができます。多くの滝がそれぞれの音を立ててそれらが周囲に響き渡るような大きな音になっているところからこの名が付けられたようです。実は現地に到着するまでは、滝を見るために下まで降りて滝を見上げるものと思っていましたが、下に降りることはできず、結構、高いところから見下ろして見学するようになっていました。

ちなみに滝の数を数えてみましたが、48もなさそうです。まだ他に滝があるのを見落としていないか確認しましたが、やはり足りないようです。戻ってきてから調べてみたところ、四十八滝という名前は江戸時代からの呼び名で、支流を含めると滝が48あるということでした。ただどれが48に該当するのかは定まっていないようでした。
新緑や紅葉の季節がいいという書き込みがありましたが、雪の舞う中での滝も風流かなと思い、厳冬の1月に出向きました。訪問当日、期待通り?雪が降りその中での撮影となりましたが、どうも私の撮影技術の未熟さのために、雪の中の滝というわけにはいかなかったようです。

奥新川変電所(奥新川駅)
奥新川駅近辺の見所として奥新川変電所があります。奥新川変電所に出向いた時の内容は都合により別ページ「奥新川変電所」にて記述しましたので、ご参照いただければと思います。


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