作成日:2024/9/15

訪問日:2024/4/7  

 

奥新川変電所跡

 

【カテゴリ:歴史、文化】


 本ページの内容は、「仙山線各駅停車」の中で記載していた内容です。都合により内容を独立させて少し加筆したものです(関連記事「仙山線各駅停車」「秘境駅から歩く」

 

奥新川直流変電所跡
奥新川直流変電所跡

  仙台市と山形市を結ぶ仙山線は、当初は仙台~作並間を結ぶ仙山東線、山寺から千歳までを結ぶ仙山西線として分かれて運行しており、いずれも非電化区間でした。その後、1937年に作並~山寺間が開通しますが、この区間には奥羽山脈を越えるための長大なトンネル(当時日本で3番目に長いトンネル)があったため、煤塵被害を避けるために当初から直流電化区間でした。そのため山寺駅と作並駅ではそれぞれ機関車の付け替えが行われていました。

 

 その後、北仙台駅~作並駅間で交流電化による試験走行が行われました。ご存じの通り、交流による電化のメリットは、変圧器を用いることにより2万ボルトといった高圧の電流を変電所から離れた場所まで損失を少なく電力を送ることが可能であることです。

 1968年に仙山線全線が交流電化に統一されました。このため交直流切り替え設備や直流発電所といった設備が役目を終えることになりました。

奥新川駅
奥新川駅

  全線交流電化に伴い幾つかの設備が時代に取り残されることになるのですが、その中で現存する設備の1つとして奥新川変電所があります。今では役目を終えた設備が山形県と宮城県の県境にあると聞き、その遺構を見るために出かけました。

 

 旅の起点は仙山線の「奥新川駅」です。「奥新川」と書いて「おくにっかわ」と呼びます。このあたりを流れる広瀬川の支流の1つでもある「新川川(にっかわがわ)」に由来しているようです。近くにはニッカウィスキーの工場もあります。

 この駅は仙山線の宮城県側の最奥の駅となります。奥羽山脈の懐にあるため、お隣の山形県側の駅である「面白山高原駅」とともに、冬季の間は一部の列車で通過駅となります。 

奥新川駅
奥新川駅前

  このあたり一帯は江戸~大正時代にかけて銅の鉱山がありました。また林業の地としても栄えており、狩り出された木材を運ぶための森林鉄道もあったようです。小学校や飲食店などもあり、600人程度の集落を形成していたようですが、1960年代に入ると鉱山が閉山となり森林鉄道も廃止となりました。これがきっかけに周辺の衰退がはじまり、今では数人が住む程度の集落になりました。そしてこの奥新川駅も秘境駅ランキング(牛山隆信氏「秘境駅ランキング」より)の上位に顔を出すような寂しい駅になってしまいました。

 

 私がこの奥新川駅を降りた時も自分一人だけでした(乗る際も同じです)。写真は駅前にあった食堂(らしき)と思われる家ですが、どうも営業している気配はありませんでした。

奥新川変電所への道
奥新川変電所への道

  さて奥新川変電所へは奥新川駅から徒歩12分のところにありますが、最初にお断りしなければなりません。実はこの道は私が出向いた時(2024年5月時点)は通行止めになっていました。ただ通行止めといっても写真をご覧頂ければおわかりの通り、紐が張られているだけでした。そしてそこには小さい字で恐縮ですが「通行禁止」と書かれていました。熊注意の張り紙もされていました。

 

 一応、危険な箇所があればその時点で引き返そうと思い、通行止めを突破しましたが、結果的に危険な箇所はありませんでした。ただもし訪れる機会があれば、くれぐれも自己責任において行かれるようにお願いします

奥新川神社
奥新川神社
快適な道は続く
快適な道は続く

仙山線の下を2度ほどくぐる。
仙山線の下を2度ほどくぐる。意外としっかりした道だ!

  変電所までの道はもう少し荒れているのかと思いましたが、かつては森林鉄道が走っていたということもあり、結構、しっかりした道でした。一応、熊除けのため鈴を鳴らしながら進みます。途中、仙山線の下を2回ほどくぐりぬけて奥新川神社を通過するとまもなく奥新川変電所に到達しました。事前に調べた時にはもう少しそれとわかる変電所跡の掲載もありましたが、今は骨組みだけになっていました。時間がたてばたつほど設備の劣化が進んでしまっているのでしょうか。ただこれはこれで趣のある風情でした。近くには資料館があり、回転機が設置されていました(ただし中には入れず)

奥新川変電所に到着
奥新川変電所に到着
奥新川変電所
奥新川変電所

隣にある資料館(中には入れず)
隣にある資料館(中には入れず)
資料館の中にある回転機
資料館の中にある回転機

 かつての直流電化区間の主役がその役目を終えて、今は仙台と山形の県境近くの山奥でひっそりと仙山線の安全を見守っている姿は、どこか物悲しさを感じるものがありました。そして再び誰に会うこともなく(もちろん熊にも)、元の道経由で奥新川駅に戻りました。

 

 このあたりは大都会仙台市内にあたりますが、仙台市内とは思えないような道のりの中、静かな遺構巡りを楽しむことができました。



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