入水鍾乳洞~本格的なケイビング気分が味わえる鍾乳洞~【2022/7/8訪問】

<カテゴリ:自然・温泉>


龍泉洞
龍泉洞※岩手県を代表する鍾乳洞

 岩手県から福島県に連なる北上山系ならびに阿武隈山系には、多くの鍾乳洞があります。このあたりは大昔は海底にあり、鍾乳洞の元となる石灰岩を多く含んでいるため、鍾乳洞が多いと言われています。現時点でまだ未発見の鍾乳洞が数多くあると言われており、是非、今後の調査に期待したいところです。

 今回訪れたのは入水鍾乳洞とあぶくま洞です。ここでは、これまで味わったことがないような鍾乳洞巡りを体験することができました。それはいずれもオプションコースがあるということです。これまで訪れた岩手県の鍾乳洞は、コース別の料金は無かったと覚えています。今回、訪れたあぶくま洞と入水鍾乳洞は、通常料金に加えて追加料金を支払うことにより、よりスリリングな体験を味わうことが出来るコースがあることです。特に入水鍾乳洞は、真っ暗闇の中を懐中電灯を使いながら、しかも水の上を這いつくばって歩くといった具合に、かなり本格的なケービング体験が出来るようです。そのような話を聞き、早速、出向きました。

磐越東線神保駅
磐越東線神保駅

あぶくま洞を歩く

 まずウォーミングアップとして訪れたのはあぶくま洞です。旅の起点は磐越東線の神保駅です。

 余談になりますが、福島県を東西に貫く磐越東線と磐越西線ですが、どうも会津若松や喜多方、磐梯山といった有名な観光地を抱える磐越西線の方が有名のようです。ただ磐越東線も素晴らしい路線で、東側のいわき駅近辺では、草木が線路に迫っており、窓を開けっぱなしにしておくと、周辺の草が車内に入り込むような自然一杯の沿線を走ります。また江田駅は秘境駅ランキングにもでてくる駅です。磐越東線全体が福島県という単一県を走るということも珍しいようです。ただご多分に洩れず、赤字路線のため、「鉄道」を旅の手段としている私には非常に気になるところです。最近、1kmあたりの1日の平均乗客数を示す「輸送密度」が公開されましたが、この磐越東線についていえば、特に東部地域の乗客数が少ないようです。是非、微力ながら、これからも出来るだけ鉄道を使い、路線継続に貢献したいものです。

あぶくま洞
あぶくま洞

 さてホームページ等のアクセスガイドによると、あぶくま洞は神保駅より車で8分のところにあるようです。あまり徒歩で訪れることを想定していないのでしょうか。もちろん「東北を歩く」としてはタクシーを使うことなどしません。車で8分ということは、徒歩に換算すると約5kmと想定しました。十分に徒歩圏内です。結構な上り坂のため予想外に時間を要しましたが、約40分程度で到着しました。ここでは、通常のコースに加えて、200円の追加料金を払うことにより「探検コース」が設けられています。HPによると、悠久の歳月をかけて作られた大自然の造形美と紹介されていましたが、その名の通り、最深部の滝根御澱という大ホール、途中にあるクリスマスツリーという名前の巨大な岩、大量の水が流れる滝など、息を呑むようなシーンが続きます。大自然の造形美に圧倒されてしまいました。


 入水鍾乳洞を歩く

 あぶくま洞でウォーミングアップをした後は、いよいよ入水鍾乳洞です。あぶくま洞からは山側の道を辿っていけるようですが、あぶくま洞に行く途中に見かけた蕎麦屋が気になっていて、駅から来た道を途中まで引き返し、そこで昼食を取った後、入水鍾乳洞まで歩いて行きました。蕎麦屋で入水鍾乳洞までの道を尋ねた時、最初は車だと思われていたようでした。

入水鍾乳洞
入水鍾乳洞

  さて入水鍾乳洞は、国の天然記念物に指定されており、全長約900メールの洞内は、A、B、Cの3コースに分かれています。Aコースは普段着のままでいいのですが、Bコースから奥はほとんど手が加えられていないところを歩くことになり、懐中電灯やカッパなどの雨具が必要となります。Cコースに至ってはガイドが必須で、かつ事前予約となっています。当初はCコースを考えていましたが、事前にいろいろ調べた上で、今回は、次のような理由でBコースにすることに決めていました。

・いろいろな体験記を見ると、Cコースは確かにBコースと比べて多少狭いところを通るものの、基本はBコースの延長のようだったと書かれていたこと。

・1人旅なので事前予約が煩わしく、しかも料金がBコースの800円と比較して、Cコースが6000円と大きく跳ね上がること(もちろんこれはガイドの料金に違いありませんが)

入水鍾乳洞
入水鍾乳洞

 ちなみにBコースは「Aコース+α」のコース、Cコースは「Bコース+α」のコースとなっており、それぞれが別コースということではありません。従い、Cコースを選択するとAコースもBコースも歩くことになります。

 結果的にBコースで十分にスリリングな体験を味わうことが出来ました。洞内は、他の鍾乳洞によくあるような人工の足場がほとんどなく、しかも案内板も少なく、本当にここが正規のコースなの?と思うような狭い隙間を通ります。加えて電気が通っていない箇所も多く、そういった場所では、真っ暗闇の中を懐中電灯だけを頼りに歩きます。また水の上を這いつくばりながら、狭い空間を潜り抜ける箇所もあるので、全身びしょ濡れになります。もちろんそのような箇所では、何度も頭をぶつけました。スマホもつながらないので、もし今、地震が発生して岩が崩れ落ちたらどうしようと思うほどの狭い空間です。しかも水温は冷たく足首くらいまでつかりながら歩きます。もちろん1人旅でしたので、案内板も少ない中、相談する相手もなく、途中、無事に戻ることが出来るか心配になったほどです。出口に無事戻ってきた時は、正直、ほっとしました。ちなみに洞内では1人も出会うことはありませんでした。

星の村ふれあい館
星の村ふれあい館

 あぶくま山系が生んだこの奇跡の光景に感動です。Cコースを味わっていないので大きなことは言えませんが、自力でBコースを歩くのも本格的なケービング気分が味わうことが出来てよかったのでは思います。なおBコースに必要な懐中電灯や雨具は受付で借りることができます(ちなみに有料です)。

 鍾乳洞のあとは、近くにある「星の村ふれあい館」の温泉で一風呂浴びました。そこでは1人しか会うこともなく、静かな温泉を味わうことが出来ました。そのあとはお決まりの地元の資料館巡りをしました。今回は田村市民俗資料館です。

田村市歴史民俗資料館
田村市歴史民俗資料館(JR船引駅から徒歩15分)

 安倍元首相襲撃事件

 既にご存知の通り、安倍元首相が凶弾に倒れ命を落とすという痛ましい事件が発生しました。もちろん今回の鍾乳洞と全く関係ないのですが、実は今回の旅の当日に事件が発生しました。丁度、あぶくま洞から入水鍾乳洞に行く途中に速報が入りました。そのため昼食を取った蕎麦屋や、温泉に入った星の村ふれあい館でもその話題で持ち切りでした。地元の方との会話の中で、「先日お見かけしたところだったのに」という言葉が耳に入ったので、その方にお聞きしたところ、どうも私が鍾乳洞を訪れた2日前に安倍さんがこの地を訪れて選挙の応援演説をされていたようです。帰宅後、改めて調べてみたところ、確かに2日前にこの地(田村市)で応援演説をされていたようでした。

磐越東線菅谷駅
磐越東線菅谷駅

 これまで味わったことがないような鍾乳洞でのスリリングな体験、磐越東線ののどかな風景、そして安倍さん襲撃事件というハプニング等、印象深い旅となりました。皆さんにも是非、この本格的なケービング気分が味わえる入水鍾乳洞をお勧めしたいと思います。最低、Bコース以上をお勧めします。Bコースであれば、出来れば自力で到達頂くため、1人で訪れてみては如何でしょうか。なお今回はあぶくま洞から入水鍾乳洞まで歩いて行きましたが、入水鍾乳洞だけであれば、最寄りの駅は菅谷です。駅から徒歩約30分程度です。是非、磐越東線にも乗って頂きたいと思います。


<関連情報>

①旅程※時刻は訪問当日の時刻表です。もし訪れられる場合は最新の時刻表をご参照頂きますようお願いします。

【2022/7/8】

東京(7:12)=(東北新幹線)=郡山(8:31)

郡山(9:41)=(磐越東線)=神保(10:29)~(徒歩)~あぶくま洞(11:15)

あぶくま洞(12:10)~(徒歩)~入水鍾乳洞(13:30)

星の村ふれあい館(15:10)~(徒歩)~菅谷(15:35)

菅谷(15;40)=(磐越東線)=船引(15:55)~(徒歩)~田村氏歴史民俗資料館

船引(17:10)=(磐越東線)=郡山(17;36)

 

②入水鍾乳洞