作成:2025/2/1

 

昭和100年~レトロな東北を歩く~ 

 

<カテゴリ:文化・遺産>


昭和100年

 

かつてはどこの家庭にもあった風景(東北歴史博物館)
かつてはどこの家庭にもあった風景(東北歴史博物館)

  2025年の新しい年が明けました。2025年は、昭和100年、戦後80年、アジア初の万博開催から55年、阪神・淡路大震災から30年等、いろいろな意味で節目の年のようです。三島由紀夫生誕100年というのもありました。記憶に新しいところでは、コロナ禍5年という年でもあります。年の末尾に5とつくので、5もしくは10がつく年度が○○周年と言いやすいのだと思います。その中でも昭和100年というのは最もインパクトのある節目の年ではないでしょうか。

 

かつてはどこにもあった町の駄菓子屋(東北歴史博物館)
かつてはどこにもあった町の駄菓子屋(東北歴史博物館)

  先日、今話題(笑)のフジテレビ系列で昭和の99大ニュースというテレビ番組をやっていました。結構、面白い内容だったので最初から最後まで見てしまいました。当然、第1位は太平洋戦争と思っていたのですが、10位にも入っていなかったのが驚きでした。司会の方もおっしゃっていましたが、基本はアンケート形式なので、それを体験したかどうか、記憶に残っているかなどがポイントのようです。終戦から80年経過したこともあり、太平洋戦争が10位の圏外というのも止む得ないようです。それでもやはり「昭和100年」はインパクトのある言葉です。

 

 確かに昭和は、第2次世界大戦での敗北、そのあとの奇跡的な復興、アジア発のオリンピック開催、バブル経済、そして平成に入ると関西淡路大震災、東日本大震災、さらに令和に入るとコロナ禍など、少なくとも日本の歴史の中で経験したことがないような激動の時代でした。ちなみに有史以来、昭和という元号が最も長く続いたらしいです。

 

懐かしい昭和グッズの展示(松島レトロ館)
懐かしい昭和グッズの展示(松島レトロ館)

  また昭和は激動であったと同時に輝いていたという声もよく聞きます。実際、昭和をテーマとした歌番組も最近ではよくみかけます。私はあまり懐古主義者ではありませんが、昔を思い起こすような懐かしいにシーンに出会うとうれしくなり、思わず見入ってしまうことも確かです。

 

 これまでの東北の旅を振り返ると、昭和レトロを感じることができる場所が数多くありました。「東北を横断する」という新しいカテゴリの記念すべき第1回目として「昭和100年~レトロな東北を歩く~」と題して、東北地方に残されている昭和の懐かしさを感じる場所をご紹介したいと思います。

 

 なお今回、過去の東北の旅帳をひっくり返して探しましたが十分に探しきれておらず、ご紹介した以外にもたくさんの昭和レトロな場所があったはずです。今後、思いだし次第、追加していきたいと思います。

 

懐かしい昭和グッズの展示(人形の蔵)
懐かしい昭和グッズの展示(人形の蔵)

  なおここで取り上げるお勧めスポットは、十分に昭和を懐かしむことができるところをご紹介させて頂きますが、作られたのが明治時代であったり大正時代であったりとする場合があり、そのあたりはご容赦ください。また現役を退いた重要文化財のような歴史的建造物は除きました。山形県の銀山温泉等、昭和というよりもいわゆる「大正ロマン」として有名な場所も除きました。

 

 な一応、現在でも存在していることを確認して掲載しましたが、もし訪れる機会あれば、念のためHP等でご確認頂ければと思います。

 


松島レトロ館(宮城県・松島町)

 

松島レトロ舘
松島レトロ舘(2024年撮影)

  観光客でにぎわう松島の一角、仙石線松島海岸駅から徒歩15分のところにあります。以前はもう少し松島海岸駅に近い建て物の2階にありましたが、最近、この地に移転してきたようです。メンコ、ビー玉といった子供のころにあったおもちゃ、アイドルのポスターなど8千点あまりがところ狭しと展示されています。けん玉やおもちゃのパチンコなどもあり、おもわず「懐かしい」と叫んでしまいました。

 

 ここのオーナである油谷氏は、若い頃より民具の収集を続けられてきたようで、その数はなんと数100万点にも及ぶようです。その一部がここ松島レトロ館で展示されています。本家の油谷コレクションは秋田にあります。最寄りの追分駅から徒歩50分と行くだけで疲れた記憶があります。

 

松島レトロ館
松島レトロ館


壱弐参横丁(宮城県・仙台市)

 

壱弐参横丁
壱弐参横丁

 

  壱弐参と書いて「いろは」と呼びます。仙台市内にはいくつものアーケード街がありますが、その1つサンモール一番町に「壱弐参横丁」があります。ここは仙台空襲の復興から始まったとされており、昭和の面影を残す通りとなっています。昔ながらの飲み屋や食事処に加えて、アンティークなお店、若い人向けのおしゃれな店が混然一体となって同居しており、あまり他ではみかけない独特の空間を形成しています。

 

 私は日曜日の昼に昼食を取るために出向いたのですが、写真の通りあまり店は開いていませんでした。平日の夜は大変な賑わいとなるようです。仙台駅から徒歩13分です。なお仙台空襲については別ページでご紹介していますので、ご参照頂ければ幸いです。

 

  関連記事「仙台に残された戦争の爪痕」

 


昭和なつかし館(福島県・会津若松市)

 

会津若松市昭和なつかし館
会津若松市昭和なつかし館(2013年撮影)

  会津若松市は福島県会津地方の中核都市です。磐越西線会津若松駅から徒歩10分のところに観光客で賑わう七日町通りがあり、その一角に「昭和なつかし館」があります。1Fは骨董屋になっており、安政5年に造られた蔵があります。

 

 この「昭和なつかし館」では、オーナの方の強い思いにより昭和30年頃の会津地方の街並みを再現しています。実際、映画「ALWAYS~三丁目の夕日」で見たような薄暗い路地、タバコ屋、銭湯、映画館などの懐かしいシーンが所狭しと並んでいます。

 

会津若松市昭和なつかし館
会津若松市昭和なつかし館

  中央には、ちゃぶ台、白黒テレビなど、以前にはどこの家庭にもあった懐かしい風景が再現されていました。本物にこだわりたいというオーナの強い意向もあり、天井のよごれなどもすべて手作りによる再現のようです。また少し変わった蠅取りなどもあり、これを使ってどのように蠅を捕獲するか考えるのも楽しいものです。館内には懐かしい音楽も流れており、大人も子供も楽しむことが出来ると思いますが、どちらかというと大人向けの印象を持ちました。私はなぜかタバコ屋の風景に懐かしさを覚えてしまいました。そういえば昔はどこにもあったタバコ屋はすっかり見かけなくなってしまいましたね。町の銭湯、町の本屋、町の喫茶店などもそうです。

 

昭和なつかし館
昭和なつかし館


昭和レトロミュージアム(福島県・喜多方市)UPDATE!(関連情報ご参照)

 

喜多方市昭和レトロミュージアム
喜多方市昭和レトロミュージアム(2014年撮影)

 

  会津若松と並ぶ会津地方の中核都市である喜多方市に「喜多方レトロ横丁」というまさに昭和浪漫をテーマとした一画があります。このあたり全体が昭和にタイムスリップしたような面影を残す横丁となっており、懐かしい駄菓子屋やラーメン店などが軒下を連ねています。そしてその一角に「昭和レトロミュージアム」があります。ここでは昭和の生活雑貨や電化製品、レコードなどが展示されています。また昭和時代の茶の間や洋間、子供部屋なども再現されています。懐かしいベーコマやけん玉などで遊ぶこともでき、大人も子供も昭和レトロを十分に楽しむことができます。磐越西線喜多方駅から徒歩8分のところにあります。

 

 先頭に戻る

 


人形の蔵(宮城県・白石市)

 

人形の蔵(2004年撮影)
人形の蔵(2004年撮影)

  ここは名前が示す通りフィギュアやお面、土人形(別館にて展示)といった人形を中心に昔懐かしいレトロものが10000点近く展示されています。また常設展に加えて一年を通していろいろな企画展が催しされています。現在でも発刊されている少年漫画の初期の頃の漫画が展示されていたので、私は思わず手に取り読みふけってしまいました。

 

 二階には「終戦の蔵」と称して銃後の生活に関係した日常品などが展示されていました。また市松人形も展示されています。JR東北本線白石駅から徒歩13分です。

人形の蔵
人形の蔵


康楽館(秋田県・小坂町)

 

康楽館
康楽館(1986年撮影)

  秋田県の北東部に小坂町という小さな町があります。このあたりは以前は鉱山として栄えた街で、その鉱山労働者の慰安施設して建てられたのが康楽館という芝居小屋です。明治時代に作られましたが、なんと未だに現役の芝居小屋として使われており、歌舞伎の公演も行われています。国の重要文化財にも指定されています。

 

 今回、明治から昭和レトロの代表的な現役の建造物としてご紹介させて頂きますが、右の写真をご覧頂ければおわかりの通り、明治に建てられたとは思えない、非常にモダンな洋風建築です。モダンな外見とは別に、建物の中は鉱山で栄えた時代の名残がある昔流の劇場形式となっており、その対比が大変にユニークでした。なお小坂は私の大変にお気に入りの町で、別ページにて紹介させて頂いていますので合わせてご参照頂ければ幸いです。

 

 関連記事「小坂の街並みを歩く」

 


本宮映画劇場(福島県・本宮市)

 

本宮市映画劇場
本宮市映画劇場(2021年撮影)

 

  福島県の丁度中央部あたりに本宮市という街があります。JR東北本線や東北自動車道が縦貫しており、福島県を代表する内陸型の工業地帯として発展しています。ただ福島県の市では一番人口が少なくまた最も面積の小さい市です。

 

 この本宮市の路地裏に昔ながらの映画劇場があります。ここは1914年(大正3年)に芝居小屋と公民館を兼ね備えた設備として建設され、無声映画や芝居などの興行が行われてきました。そして閉館となった1963年まで芝居小屋と映画館として使用されてきました。閉館後、50年以上経っても映写機が動かせる状態になっており、年に数回の割合で上映会が開催されているようです。この映写機はカーボン式となっており、現存する物としては非常に珍しいようです。私が訪れた時は上映等の催しもなく、また職員の方も不在でしたので、外観を見るだけでしたが、十分に昔懐かしい映画館を味わうことができました。JR本宮駅から徒歩6分です

 

→「東北を横断する」に戻る

 


<関連情報>25/4/20更新

昭和レトロミュージアムに関する情報を提供頂きました。上記でご紹介した喜多方市の昭和レトロミュージアムは既に営業をしていないようです。ただ「レトロ横丁商店街」ということで古い街並みは残っているとのことです。