桜前線異状あり!


弘前城桜祭り(1986年5月2日撮影)
青森・弘前城桜祭り(1986年5月2日撮影)

 今年(2024年)もまた桜の季節がやってきました。私が住む東京では3月29日に桜の開花宣言がだされました。平年と比べて5日遅く、昨年より15日も遅い観測のようです。そしてこれは2012年の3月31日開花以来の12年ぶりの遅さのようです。去年(2023年)の猛暑に続き今年の冬は暖冬だったので、例年より早い桜の開花を予想していました。意外でした。

 少し調べてみると、開花時期と2月以降の気温には一定の法則があるとのことです。今年は暖冬だったので、当初は桜の開花も例年より早い予想がされていました。実際、1月は高温続きであったこと、2月も春のような陽気が多かったので、少なくとも「梅」の花は例年より早く咲きました。ちなみに東京での梅の開花日は1月9日で、これは平年より13日も早いものでした。

秋田角館の桜並木(1988年5月2日撮影)
秋田・角館の桜並木(1988年5月2日撮影)

 梅に続き桜の開花も早いと予想されていました。実際、2月末の気象情報によると、東京の開花予想は、3月17~22日というもので、平年の3月24日より数日早いというものでした。しかしその後、寒気が戻り、真冬のような寒さが続いたこともあり、開花予想が後ろにずれてしまい、3月19日時点では平年並みの3月24日の開花予想でした。ところがその後もなかなか暖かくならなかったため、3月24日時点で開花宣言はされませんでした。

 私の住んでいる地域では、3月24日に桜祭りが開催されましたが、なんと開花宣言が出される前の桜祭りとなり、非常に寂しい催しとなってしまいました。ただ年によっては逆のケースもあり、桜の開花が例年より早かったために、桜祭りが開催される頃には、桜は散ってしまっているということもありました。このあたりの予報は難しいに違いありません。ましてや祭りを実施するとなると、何ヶ月も前から準備をする必要もあり関係者のご苦労も大変なことと思います。

岩手・展勝地の桜祭り(1987年4月29日撮影)
岩手・展勝地の桜祭り(1987年4月29日撮影)

 今回の遅れの原因ですが、桜の開花には冬の寒さが必要という、いわゆる「休眠打破」とその後の気温上昇が重要と言われています。今年(2024年)は暖冬であったものの、それなりに寒波もあったため「休眠打破」という面では問題なかったようですが、その後の気温上昇が遅れてしまい、開花も遅れてしまったようです。

 さて東北地方には多くの桜の名所があります。平年であれば仙台あたりの開花予想は東京の平年開花日(3月24日)の約2週間後の4月8日、青森の開花予想はさらに約2週間後の4月22日です。そのため桜名所で有名な弘前城の桜は、丁度、GWの頃に満開を迎えることになり、何時もGW期間中の人出ランキングでは上位に連ねています。

岩手・遠野(五百羅漢)の桜(1990年5月1日撮影)
岩手・遠野(五百羅漢)の桜(1990年5月1日撮影)

 実際、本ページでは主に北東北の桜名所に出向いた時の写真を掲載してみましたが、改めて撮影日付を見るといずれもGW期間中でした。今でも記憶に残っているシーンがあります。1986年に青森の弘前に出向いた時のことです。この年は平年より遅く開花宣言が出され、青森地方に開花宣言が出されたのは5月1日でした。そしてその数日後、青森の宿で天気予報を見た時、「遅れていた今年の桜前線もようやく本日、無事に津軽海峡を渡ることができました」という少しイキな気象士のセリフを今でも覚えています。

 そのような東北地方の桜の開花時期ですが、最近は温暖化の影響のためか、1週間も2週間も平年より開花が早まっています。そして今年(2024年)の東北地方の桜の開花予想も異状ありのようです。

秋田・千秋公園の桜(1991年4月27日撮影)
秋田・千秋公園の桜(1991年4月27日撮影)

  東京での桜の開花が例年より5日遅かったので、東北地方の桜の開花も遅いのかと思いきや、むしろ例年より早いようです。仙台での開花予想は、例年であれば東京の開花から2週間後に開花宣言が出されるのに、今年の予想は4月2日となっており、平年(4月8日)より6日も早くなっています。東京の開花宣言からわずか4日後です。

 青森県での開花予想も4月14日頃になっており、例年より8日も早いようです。今頃、桜祭りの関係者は大慌てなのでしょうか。もしくはお祭りはかなり前より企画するので、今さらじたばたしても仕方ない開き直りの状況でしょうか。もしくは当初の読み通りなのでしょうか。いずれにしても今年もGWの時期に満開の桜を見ることはできないようです。

岩手・盛岡市内石割桜(1985年5月2日撮影)
岩手・盛岡市内石割桜(1985年5月2日撮影)

 さてその東北地方には数多くの桜の名所がありますが、ここではあえてお勧め場所をご紹介することは避けて、これまで出向いた場所の中から何か所かを写真でご紹介する程度とさせて頂きます。理由は大きく次の2点です。

①そもそも撮影技術が未熟なため桜をきれいに写すことができていません。掲載した写真をご覧頂ければおわかりの通り、満開のソメイヨシノが持つ華やかさを表現することが出来ず、どことなく暗いイメージがあります。特に角館の桜並木の写真を見た時は衝撃を受けました。

②いろいろな桜の名所を見てきましたが、やはりおらが町の桜が一番と思っています。恐らくここでお勧めの桜の名所をご紹介すると、反論の連絡を頂くことでしょう。私もおらが町の桜が一番と思っています。

 

 いずれにしても今年も桜前線異状ありです。東京の開花が遅れたからといって、東北の桜の開花も遅れるとは限らないようです。くれぐれも出向いた頃には桜が散っていたということがないように、桜開花情報と睨めっこしながら、足を運んで頂きますようお願いします。

 

付録)おらが町の桜(川の両岸から桜の枝がまるで川面に触れんばかりに垂れ下がっている)