盛岡市さんさ踊り【1989年~5年連続訪問】

<カテゴリ:祭り、文化・遺産>


  東北地方の夏祭りは、その短い夏を惜しむかのような「豪華絢爛」、「エネルギッシュ」なものが多いです。私は「東北の○大夏祭り」といった言葉に代表されるような大きな祭りから、その地方に代々伝わる伝統的なお祭りまで、多くのお祭りを見てきました。その中でも特にお勧めしたいお祭りの1つが、今回、ご紹介する「さんさ踊り」です。

さんさ踊り
さんさ踊り

 さんさ踊りは、岩手県盛岡市で、毎年8月1日から4日にかけて行われる夏祭りです。青森のねぶた祭りや仙台の七夕祭りと比較して、知名度では若干劣るものの、とにかくそのスケールには圧倒させられます。スケールの大きさだけは、青森のねぶた祭りの方が大きいかもしれませんが、圧倒的な数による和太鼓の演奏を聞くと、大げさな話ですが、魂が揺さぶられる思いにさせられてしまいます。ちなみに2007年には和太鼓の数が世界一の祭りとして、ギネスに登録されました。

 私が初めてさんさ踊りを見たのは1989年の夏だったのですが、桁違いのスケールの大きさに圧倒させられてしまい、その後、5年連続で見学に出かけました。

三ツ石神社境内
三ツ石神社境内にある三ツ石

 さんさ踊りの歴史は、藩政時代よりの三ツ石伝説に由来しています。その昔、南部藩盛岡に鬼が現れ、町の人々を困らせていました。困ってしまった町の人々は、盛岡近辺にある三ツ石神社の神様に悪魔の退治をお祈りしました。それを聞いた三ツ石神社の神様は、鬼を捕まえ、二度と悪いことをしないように、境内にある大きな石に鬼の手形を押させたとのことです。鬼が退治され、町の人々は喜び、この三ツ石の周りを踊ったのが起源とされています。現在、盛岡市内にある三ツ石神社には、その大きな石(岩)があり、毎年、さんさ踊りが行われる前の7月にはさんさ踊りの奉納がされます。ただ私も三ツ石神社には何度か訪れましたが、どこに手形があるのかは、よくわかりませんでした。ちなみに、この「岩」に「手形」、これが岩手の由来であるともいわれています。 

さんさ踊り
さんさ踊り

 さてさんさ祭りは、以前は3日間の開催でしたが、最近では参加団体数が増え続けたため、1日増えて4日間の開催になったようです。お祭りの当日は、多くの団体によるパレードが行われ、パレードの後は誰でも参加できる輪踊りが繰り広げられます。まさに「豪華」「勇壮」という言葉がぴったりです。また最終日には、太鼓だけの大パレード、大輪踊りが実施され、そのスケールに圧倒させられてしまいます。とても言葉では言い表すことができません。とにかく一度、ご覧頂くことをお勧めします。 特に最終日の和太鼓だけによる大パレードははずせません。また大輪踊りへの飛び入り参加をお勧めします。


 

 祭りを見終えた次の日は盛岡市内の観光がお勧めです。これは夏祭り全体に言えることですが、祭りの次の日の「静寂」と、祭り当日の「喧騒」とのギャップが面白いほどに大きく、昨晩の狂乱は一体何だったのだろうかという思いにさせられてしまいます。

 盛岡市は言わずとしれた岩手県の県庁所在地ですが、自然に恵まれた風光明媚な素晴らしい街です。別ページにもお勧めスポットをご紹介させて頂いているのでご参照頂ければと思います。

 

 


<関連情報>

①コロナ禍で中止となっていたさんさ踊りですが、22年夏に3年ぶりで開催されるようです。感染防止のため、お勧めの飛び込み参加が出来ず、規模も縮小されるようですが、それでも久しぶりの実施ということでなによりです。

 

②是非、立ち寄りたい周辺のお勧めスポット(もちろん鉄道とバスと徒歩で)   

神子田の朝市

神子田の朝市(2019年撮影)

藩政時代より続く朝市。盛岡市民の台所として愛されている。朝5時からほぼ毎日開催。JR盛岡駅から徒歩35分。

岩手銀行赤レンガ館

紺屋町界隈(2018年撮影)

盛岡城を中心とした古い街並みが多い城下町の中で、洋風の建物が数多く残されている。写真は岩手銀行赤レンガ館。JR盛岡駅から徒歩12分

鉈屋町界隈

鈎屋町界隈(2019年撮影)

江戸時代から明治にかけての町民の暮らしを残すために整備された区画。当時の生活ぶりを残す寺院等が点在している。写真は大慈清水。JR盛岡駅から徒歩18分