最上川三難所川下り~第3の川下り (訪問日時:2002年8月14日)

<カテゴリ:自然、温泉>


  山形県を流れる最上川は、山形県の吾妻山に端を発し、山形県中央部を北に流れ、新庄付近で西に向きを変え酒田市で日本海に注ぐという山形県だけを流れる大河です。このように一つの都府県のみを流域とする河川としては日本最長のようです。まさに山形県の母なる川と言えそうです。かつては河川舟運として利用され、紅花や米が最上川を使って運ばれ、酒田港より京都など上方に運ばれていました。ただ母なる川というイメージとは裏腹に、実情は昔から氾濫が多く発生していて、人々を悩まさせていました。また日本三大急流の一つでもあり、特に今回ご紹介する三難所(碁点、三ケ瀬、隼)あたりは難所として船頭を悩ませていたようです。

最上川芭蕉ライン下り船乗場
最上川芭蕉ライン下り船乗場(2001年撮影)

 さてこの最上川を舟で下る観光コースが幾つか運航されています。代表的なコースが陸羽西線沿いにある「最上川芭蕉ライン下り」と「最上川舟下り義経ロマン観光」です。よく観光ガイドなどで冬の代表的な景色として、辺り一面雪の中を舟が下る墨絵のような写真を見られたことはあると思います。最上川の流れに身を任せて、雄大な自然の中を先頭さんの唄を聞きながらゆっくりと川を下る舟下りは格別のものがあります。

 ただこの陸羽西線沿いの2つのコースを運営している会社は違っており、お互いに競うように違う路線を運航しています。例えば川下りの途中にある名所「仙人堂」は1社のみが運航しているといった具合です。ただ、いい意味で競いあっていればいいのですが、SNS等で職員の対応に不満があるという声が出ているようです。また舟便が多いため、帰りのコースとすれ違う際に船頭さんの唄などもわかってしまうという声もあるようです。ただ、私も両方のコースに乗船してみましたが、SNS等で言われてるようなことは感じませんでした。ちなみに私が両コースに出向いた頃(2001年)には、このあたり一帯が携帯の圏外となっていたため、非常に驚いたことを覚えています。

白糸の滝
白糸の滝
仙人堂
仙人堂

 そこで今回ご紹介するのが第3の舟下りである「最上川三難所川下り」です(第3というと関係する方には大変失礼とは思いますが)。最初にご紹介した2つのコースは新庄から酒田間の陸羽西線沿いの東西コースですが、最上川三難所舟下りは奥羽線沿いにある南北のコースです。ここでいう三難所は昔から船頭を悩ませていた3つの難所(碁点、隼、三ケの瀬)を指します。最初にご紹介した2つのコースと比較して規模も小さく、ローカル感満載ですが、ほのぼのとした川下りを楽しむことが出来、是非、お勧めしたいと思います。実は一点だけ不満(というか物足りなさ)がありましたが、それは最後に述べたいと思います。

村山駅
村山駅(2002年撮影)

 旅の起点は、奥羽本線上の村山駅です。ここは山形新幹線も止まる大きな駅です。余談になりますが、山形県は「置賜」「村山」「最上」「庄内」と大きく4つの地域に分類されますが、内陸中央部を「村山地方」と呼んでいます。このように地域を代表する駅のはずですが、駅前はあまり人も少なく、これが新幹線の駅かと思うようなのどかな風景でした。

 なお村山駅という名前は、それまであまり記憶がないので、少し調べてみたところ、山形新幹線の山形~新庄間の開通に合わせて、1999年にこれまでの楯岡という駅名から改称されたようです。そういえば以前に急行津軽で奥羽線周りで青森や秋田に出向いた時には、楯岡という駅名だったと思いだしました。駅周辺にもいたるところに「楯岡」の名前が残っていました。

 さてここから舟下りの乗船場まで徒歩約1時間の歩きです。丁度、いい具合の距離でしたが、到着後、舟下りの職員の方からは、よく歩いてきましたねと驚かれてしまいました、 

最上川三難所下り乗船場
最上川三難所下り乗船場

  ここから先は少し記憶が定かではないのですが、私の旅メモによると、舟下りの受付に到達したものの、人数が1人であるため少し待ってくださいと言われたと書かれています。ただ直近のホームページを見たところ、時刻表もあり、定期的に運航されているようです。乗船客が少なかったため、もう少し人が集まるのを待つことにしたのでしょうか。もしくは訪問当時は、それなりの人数が集まり次第、運航するとしていたのでしょうか。そのあたりはよく覚えていません。

 丁度、近くに碁点温泉というクアハウスがあり、帰りに立ち寄ろうと思っていましたので、待ち時間を碁点温泉で過ごすことにしました。当日は盛夏の頃で、村山駅から1時間ほど歩いたため全身汗まみれとなっていたので、丁度よい温泉での時間を過ごすことができました。

乗船場から舟まで
乗船場から舟まで

  温泉で一休みをしたあと、乗船場に戻ってみると丁度人数が成立しましたという案内がありました。数えてみると私を含めて7人でした。7人が運航成立のための最小人数でしょうか。

 舟下りは陸羽西線のメジャーな2路線と比較すると規模等で劣るものの、船頭さんのお話や唄が楽しく、大変に穏やかで素晴らしい時間を過ごすことが出来ました。乗船している人数も7人と少ないため、1時間の舟旅の間、ほとんどグループのように親しくお話しをさせてもらいました。終点は出発地点から12kmほど離れたところですが、専用バスで出発地点まで送ってもらえます。最後にはスイカのサービスというおまけつきでした。

舟内
舟内

  このようにアットホームな素晴らしい時間を過ごすことが出来ましたが、実は冒頭にも書いたように1点だけ物足りなさを感じたことがあります。それは「三難所」「日本三大急流」と聞いていたので、天竜川の川下りのように激しい流れの中を運航するものと(勝手に)想像していましたが、実体は、終始、穏やかな流れの中を運行していたことです。まあこのあたりは私の勝手な先入観ですから良しとしましょう。

 この後は、真夏の太陽のもと、再度、村山駅まで1時間ほど歩いて戻りました。

 最初にご紹介した2路線と比較すると規模も小さく感じますが、本当にほのぼのとした時間を過ごすことが出来ます。是非、皆さんにもお勧めしたいと思います。


<関連情報>

①是非、立ち寄りたい周辺のお勧めスポット(もちろん鉄道とバスと徒歩で)   

肘折温泉

最上徳内記念館(2002年撮影)

村山市出身の北方領土探検家である最上徳内の記念館。測量器や北方の地図、アイヌの生活用具等が展示されている。村山駅から徒歩15分

雪の里情報舘

東沢バラ園(2002年撮影)

日本有数のバラ園。約700品種、2万株のバラが植えられている。村山駅から徒歩25分

最上公園

碁点温泉(2002年撮影)

クアハウスとして多くの種類の温泉がある。宿泊も可能とのこと。村山駅から徒歩1時間

 


②最上川三難所川下り