作成:2023/2/5
改定:2025/9/1
最上川三難所舟下り
~第3の舟下り (2002年8月)~
<カテゴリ:自然、温泉>
母なる川 最上川
山形県を流れる最上川は、山形県の吾妻山を源流として、山形県中央部を北に流れ、新庄近辺で西に向きを変え酒田市で日本海に注ぐという山形県だけを流れる大河です。
このように一つの都府県のみを流域とする河川としては日本最長のようです。まさに山形県の母なる川と言えそうです。かつては河川舟運として利用され、紅花や米が最上川を使って運ばれ、酒田港から京都など上方に運ばれていました。
ただ母なる川というイメージとは裏腹に、昔から氾濫が多く発生していて、人々を悩ませてきました。また日本三大急流の一つでもあり、特に今回ご紹介する三難所(碁点、三ケ瀬、隼)あたりは難所として船頭を悩ませていたようです。
第1と第2の舟下り
さてこの最上川を舟で下る観光コースが幾つか運航されています。代表的なコースが陸羽西線沿いにある「最上川芭蕉ライン下り(ここでは便宜上、第1の舟下りとさせてもらいます)」と「最上川舟下り義経ロマン観光(同様に第2の舟下りとさせてもらいます)2025/9/1改定(下段ご参照)」です。よく観光ガイドなどで冬の代表的な景色として、辺り一面、雪の中を舟が下る墨絵のような写真を見られたことはあると思います。最上川の流れに身を任せて、雄大な自然の中を先頭さんの唄を聞きながらゆっくりと川を下るのは格別です。
ただこの陸羽西線沿いの2つのコースを運営している会社が違ってり、お互いに競うように違う路線を運航しています。例えば川下りの途中にある名所「仙人堂」は1社のみが立ち寄るといった具合です。いい意味で競いあっていればいいのですが、SNS等で職員の対応に不満があるという声が出ているようです(2001年当時)。また船便が多いため、帰りのコースとすれ違う際に船頭さんの唄などもわかってしまうという声もあるようです。
ただ私も両方のコースに乗船してみましたが、SNS等で言われているようなことは感じませんでした。むしろ当時、このあたり一帯が携帯の圏外になっていたことが強く記憶に残っています。
第3の舟下り
そこで今回ご紹介するのが第3の舟下りである「最上川三難所舟下り」です。最初にご紹介した2つのコースは新庄から酒田間の陸羽西線沿いの東西のコースですが、最上川三難所舟下りは奥羽線沿いにある南北のコースです。ここでいう三難所とは、もちろん昔から船頭を悩ませていた3つの難所(碁点、隼、三ケの瀬)を指します。最初にご紹介した2つのコースと比較して規模も小さく、ローカル感満載ですが、ほのぼのとした川下りを楽しむことが出来、是非、お勧めしたいと思います。
実は一点だけ不満(というか物足りなさ)がありましたが、それは最後に触れたいと思います。
村山駅に向かう
旅の起点は奥羽本線の村山駅です。ここは山形新幹線も止まる大きな駅です。ご存知の通り、山形県は「置賜」「村山」「最上」「庄内」と大きく4つの地域に分類されており、内陸中央部を「村山地方」と呼んでいます。従い、村山駅は「村山」地方を代表する駅と思い駅を降りたのですが、駅前は人も少なく、これが新幹線の駅かと思うほどのどかな光景でした。
なお村山駅という名前は、それまであまり記憶がないので調べてみたところ、山形新幹線の山形~新庄間の開通に合わせて、1999年にこれまでの楯岡という駅名から改称されたようです。そういえば以前に急行津軽で奥羽本線周りで青森や秋田に出向いた時には、楯岡という駅名だったことを思いだしました。駅周辺にもいたるところに「楯岡」の名前が残っていました。
さてここから舟下りの乗船場まで徒歩約1時間の歩きです。丁度、いい具合の距離でしたが、到着後、舟下りの職員の方からは、よく歩いてきましたねと驚かれてしまいました。
第3の舟下りに乗船する
ここから先は少し記憶が定かではないのですが、私の旅メモによると、舟下りの受付に到達したものの、人数が1人だったため少し待ってくださいと言われたと書かれています。ただ直近のホームページを見たところ、舟の発着の時刻表もあり、定期的に運航されているようです。乗船客が少なかったため、もう少し人が集まるのを待つことにしたのでしょうか。もしくは訪問当時は、それなりの人数が集まり次第、運航するとしていたのでしょうか。そのあたりはよく覚えていません。
丁度、近くに碁点温泉というクアハウスがあり、帰りに立ち寄ろうと思っていましたので、待ち時間を碁点温泉で過ごすことにしました。当日は盛夏の頃で、村山駅から1時間ほど歩いてきたため全身汗まみれとなっていました。丁度よい温泉での時間を過ごすことが出来ました。
温泉で一休みをしたあと、乗船場に戻ってみると丁度人数が成立しましたという案内がありました。数えてみると私を含めて7人でした。7人が運航成立のための最小人数だったのでしょうか。
舟下りは陸羽西線のメジャーな2路線と比較すると規模等で劣るものの、船頭さんのお話や唄が楽しく、大変に和やかで素晴らしい時間を過ごすことが出来ました。乗船している人数も7人と少なかったため、1時間の舟旅の間、ほとんどの方と親しくお話しをさせてもらいました。終点は出発地点から12kmほど離れたところですが、専用バスで出発地点まで送って頂きました。最後には尾花沢名物スイカのサービスというおまけつきでした。
この後は、真夏の灼熱の太陽のもと、村山駅まで1時間ほど歩いて戻りました。
このようにアットホームな素晴らしい時間を過ごすことが出来ましたが、実は冒頭にも書いたように1点だけ物足りなさを感じました。それは「三難所」「日本三大急流」と聞いていたので、天竜川の川下りのように激しい流れの中を運航するものと(勝手に)想像していましたが、実体は、終始、穏やかな流れの中を運行していたことです。まあこのあたりは私の勝手な先入観ですから「良し」としましょう。
最初にご紹介した2つの路線と比較すると規模も小さく感じるかもしれませんが、ゆったりとした時間を過ごすことができます。是非、一度、この第3の舟下りに乗船してみませんか。
<関連情報>
①陸羽西線高屋駅通過? 2025/9/1更新
かねてより国道の工事のため運休となっていた陸羽西線が、運転再開後、高屋駅と陸前前波駅を通過する予定であるとJR東日本より発表がありました。利用者が少ないことが主な理由で、今後も陸羽西線を維持するために必要な措置であるとのことです。
実は高屋駅というのは、先にご紹介した第2の舟下りの最寄りの駅です。そして以前に訪れた時に、平地にも関わらず携帯が圏外になっていたことに驚いた駅でもあります。
住民の声も掲載されていました。止む得ないという声がある一方、老後の足が心配であるというという声、舟下りの最寄りの駅であるため観光客の足を心配して頂いている声もありました。
通過ということは、いずれ廃止になるのでしょうか。陸羽西線自体が存続することはよかったですが、鉄道を主要な旅の手段にしている者としてはどんどん行動範囲が狭くなる一方です。ただ「歩き」も主要な手段ある者としては、もし高屋駅通過後、第2の舟下りに訪れるとしたら、高屋駅のお隣の古口駅か清川駅のどちらから歩くのが近いかな?古口駅だと第1の舟下りと同じ駅になるな?等、妄想が膨らみ、新たな楽しみが増えそうです。なお高屋駅は2009年に改築されたようで、右の写真は第2の舟下りの際に利用した時の写真です。
②是非、立ち寄りたい周辺のお勧めスポット(もちろん鉄道とバスと徒歩で)
最上徳内記念館
村山市出身の北方領土探検家である最上徳内の記念館。測量器や北方の地図、アイヌの生活用具等が展示されている。村山駅から徒歩15分
東沢バラ園
日本有数のバラ園。約700品種、2万株のバラが植えられている。村山駅から徒歩25分
碁点温泉
クアハウスとして多くの種類の温泉がある。宿泊も可能とのこと。村山駅から徒歩1時間